ボブスレー
ボブスレーが氷のトラックを疾走すると、観客から歓声が上がります!勝利の決め手は何でしょうか?
ヘルメットを手に取ったら、ボブスレーに乗って確かめてみましょう!
準備
- 付属の生徒用資料をよく読んでおきます。授業ではプロジェクターを使って生徒用資料を表示するとよいでしょう。
- 結果を予測する方法を前のレッスンで学習しておいてください。
- それぞれの生徒の能力や学習進度を考慮してください。全員がレッスンを楽しめるよう、必要に応じて個別化します。下の個別化セクションを参考にしてください。
関心を引きつける
(クラス全員、5分)
- ここで生徒用ビデオを見るか、付属の生徒用資料から再生してください。
- 実際にソリ遊びをした時や、ソリ遊びやボブスレーの様子を見たときにどのような力が働いていることに気づいたか、簡単なディスカッションを促します。
- 次のような質問をしてください:
- ボブスレーを動かすのは何の力ですか?(押す力)
- ボブスレーを動かす力には他に何がありますか?(重力は質量を下に引っ張る力です。物体の質量が大きいほど、物体の運動は速くなります。これを「運動量」と呼びます。 運動量は、動いている物体の運動をより長く持続させたり、運動エネルギーを与えたりします。よって、質量を増やすと運動量も増えることになります。運動量が増えるとボブスレーの速度も上がります。)
- これからボブスレーと氷のトラックのモデルを組み立て、ボブスレーの質量を増やして移動距離を延ばす方法について調べることを説明してください。
探究する
(少人数グループ、30分)
- 生徒をペアに分け 、ボブスレーのモデルを組み立ててもらいます。ブロックを探す役と組み立てる役を、ステップごとに交代しながらモデルを完成させるよう指示してください。
- 組み立てに役立つ情報は下のヒントを参照してください。
- すべてのグループがボブスレーと重りを組み立て、氷のトラックを組み立て説明書の51ページにあるステップ23まで完成させることができたら、そこで組み立て作業を止めさせます。または、20分が経過した時点で作業を止めさせてください。
- ミニフィギュアとボブスレーを使って氷のトラックを試してもらいましょう。ボブスレーを氷のトラックの一番上にある紫のマーカーに合わせて位置につけ、手を放すよう指示してください。氷のトラックと発車装置を最後まで完成させることができたグループは、ハンドルを回してボブスレーをスタートさせます。
- 巻尺を使って、ボブスレーが移動した距離を氷のトラックの下から測るよう指示します。生徒用ワークシート( 教師用サポート - 補足資料 )か理科のノートの表に移動距離を忘れずに記録するよう注意しましょう。
- 実験結果が均等なものになるよう、それぞれの条件で実験を3回繰り返し、中央値を最終的な測定距離として使用させます。実験をする度に、ボブスレーが止まった距離がわかるよう巻尺の横にブロックを置いて印をつけるよう指示します。
- 時間に余裕があれば、発車装置が完成していないグループにここで組み立てを再開させてください。
説明する
(クラス全員、10分)
- 生徒を集め、観察した事柄についてグループディスカッションを行ってください。
- 次のような質問をしてください:
- ボブスレーが氷のトラックを滑るのは何の力のためですか?(重力)
- ボブスレーをさらに速く、遠くまで移動させるには、どの条件を変えたらよいでしょうか?(スタートの押す力を強くしたり、ボブスレーを重くしたりすると速度と距離が向上します。ボブスレーの底と氷のトラックを滑らかにして摩擦を小さくする方法も有効です。)
- 生徒に、片手にミニフィギュアを持ち、もう片方の手には連結された2つの黒いブロックを持つよう促します。
- どちらの方が重い (質量が大きい) か、どちらの方がより速い速度でトラックを滑ることができるか質問してください。
- 予測した移動距離にブロックを置いて印をつけさせ、正しく予測できたか実験で確かめてもらいます。
- 巻尺を使って移動距離を測定し、その数値を表に記録するよう指示してください。
- 重りブロックを手に取って、先ほど実験に使った黒いブロックと比較させます。
- 予測した移動距離に別のブロックを置いて印をつけさせ、正しく予測できたか同じように実験で確かめてもらいます。
- 下のように質問してください:
- どこが違いますか?(重さ/質量)
- どこが同じですか?(体積、色)
- もっと遠くまで進むと思いますか?(理論上では移動距離が長くなるはずしかし生徒は、表面が滑らかでない場合は摩擦が大きくなり、移動距離が短くなります。)
さらに実践する
(クラス全員、5分)
- 生徒を集めて実験結果を発表させ、ディスカッションを行います。
- 次のような質問をしてください:
- 質量を徐々に変えていくことで、ボブスレーの運動にどのようなパターンが見られましたか?(最も質量が大きいボブスレーが最も遠くまで進みました。)
- 実験の結果を正しく予測することはできましたか?
- 生徒がモデルを解体してブロックをトレーに仕分けし、作業スペースを片付ける時間を設けてください。
評価する
(レッスン全体を通して)
- 授業中に生徒に「なぜ」や「どのように」といった質問を投げかけて、学習の中心となっている概念についての考察を促してください。
- 組み立てながらモデルの動作を試してみるよう促してください。下のような質問をしてください:
- クランクがどこにあるかわかりますか?
- 回すと何が起こりますか?
- 氷のトラックの一番上を傾けるには、何度回せばよいですか?
- 生徒がモデル制作をする際に、問題を解決するために行った決断の思考プロセスや論理付けについて、「声に出して考え」たり説明するような声かけをします。
この学習におけるルーブリックの例
- それぞれの生徒が、物体の運動におけるパターンと、このパターンを使って実験の結果を予測する方法をどの程度上手く説明できるかを評価します。
- 状況に合った評価基準を作成しましょう。例:
- 追加の支援を必要とする
- 支援を受けずに作業できる
- 他の生徒に教えることができる
自己評価
- それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるブロックを選ばせます。
- 緑:ボブスレーの運動におけるパターンを認識することができると思う。
- 青:ボブスレーの運動におけるパターンを認識することができる。
- 紫:ボブスレーの運動におけるパターンを認識し、このパターンを用いて実験の結果を予測することができ、クラスメートの理解を助けることもできる。
仲間のフィードバック
- チームごとに、一緒に作業をした体験について話し合ってもらいます。
- 下のような文章を使うよう促してください:
- 君が…したのはとても良かったと思う。
- 君がどうやって…したのかもう少し聞きたいな。
先生方へのヒント
組み立てのヒント
- このモデルで実験を行うには、長さが1ヤード (約91.4cm) 以上ある、平らでなめらかな面が必要です。木、タイル、紙、カーペットなど素材によって摩擦係数は異なり、結果にばらつきがでるため、可能であれば全員が同じ面の上で実験を行うようにしてください。
- すべての実験で氷のトラックを同じ位置に維持できるよう、粘着テープを使って場所に印をつけるか、テーブルや床の模様で目印として使えそうなものを探してください。
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- ボブスレーと重りブロックのみを使って実験を行う (51ページのステップ23は組み立てない)。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- ボブスレーの移動距離を延ばすものを自由に制作させる (さらに重いボブスレー、摩擦を減らすもの [車輪など]、より傾斜の高いトラック、トラックの上でボブスレーを押す装置など)
- 氷のトラックの頂上で助走をつけてボブスレーを押す装置のデザインと組み立てに挑戦させる
- ボブスレーの競技では、質量を最も軽量化し、トラックの頂上でボブスレーをどれだけ強く速く押すことができるかどうかが勝利の決め手になります。質量について学んだあとに、ボブスレーを強く押して遠くまで進ませる装置を作れるかどうか挑戦させるとよいでしょう。
発展課題
(注:時間が別途必要です。)
数学スキルの向上を図るには、構造の異なるさまざまなボブスレーモデルの質量を測定させてみましょう。縦軸をボブスレーの質量、横軸をボブスレーの移動距離としたグラフを作成させておきます。各条件ごとに実験を5回繰り返し、結果をグラフに点で記録します。実験で観察された変動と、質量と移動距離との関係について簡単なディスカッションを促します。
小学校学習指導要領算数 第2-第2学年-2-C-(1)
教師用サポート
学習内容:
- 重力が質量に応じてボブスレーの運動に影響を与える仕組みを調べる
- パターンを観察し、結果を予測する
- 質量と体積の違いを理解する
- レゴ® エデュケーション BricQモーション ベーシック セット (生徒2人あたり1セット)
- マスキングテープ
- 巻尺 (各グループに1つ)
小学校学習指導要領
国語 筋道立てて考える力、話の構成を考える
算数 2~6年生 表やグラフ、平面図形の面積
理科 3~6年生 重さと体積、予想や仮説、観察、実験、計測して制御
図画工作 創造的につくったり表したりする、つくりだす喜びを味わう
総合的な学習の時間 探求的な見方・考え方、横断的・総合的な学習を行う
中学校学習指導要領
国語 原因と結果、意見と根拠、少人数で話し合う活動、分かりやすく伝える
数学 1年生 数と式、比例/反比例、座標
理科 [第1分野] 力の働き、力の合成・分解、力のつり合い、運動の速さと向き、運動とエネルギー、摩擦
技術・家庭 [技術分野] 材料、加工、エネルギー変換及び情報の技術
総合的な学習の時間 探究的な見方・考え方、横断的・総合的な学習を行う