ギアチェンジ
変速カー を組み立て、異なるギア列を使うことによる影響を調査します。
レッスンプラン
1.準備
- EV3 Classroom アプリの生徒用資料を読み、学習課題をよく理解しておきましょう。
- 生徒がギアを上げる、またギアを下げるといった概念を理解するのに役立ちそうな、トランスミッション (変速機構) に関する情報を収集しておきます。
2.興味付け (5分)
- 「ディスカッションを活性化させる」セクションのアイデアを参考に、生徒の学習への関心を喚起します。
- 生徒にペアを組ませます。
3.探求 (20分)
- ペアごとに 変速カー を作るよう指示します。
- テスト走行を行う時間を設け、モデルが正しく組み立てられており、正常に機能することを確認させます。
4.説明 (10分)
- チームごとに、提示されているすべてのギア列のバリエーションにそれぞれ3回以上実験を行い、その結果を記録するよう指示してください。
- 各チームに自分たちでチェック表を作成できていることを確認させます。
5.仕上げ (10分)
- ギア比がロボットの移動距離や速度にどのように関係しているかを分析してもらいましょう。
- 実験結果を簡単にまとめるよう指示します。
- 清掃の時間も忘れずに確保してください。
6.評価
- それぞれの生徒に取り組みを評価して伝えます。
- 評価の際は、以下に提示するルーブリックを参考にすると良いでしょう。
ディスカッションを活性化させる
上り坂や向かい風で自転車を進ませるのは大変です。ギアシステムがあれば、前進に必要な力の量を調整することができます。平らな場所を移動する際は、低いギアで発進し、速度が出て来たら高いギアにチェンジします。
以下のような質問をして、ギアチェンジについてのディスカッションを促してください:
- 「トランスミッション」や「ギア減速」といった言葉は何を意味しますか?
- ギアユニットがボックスに入れられることが多いのはなぜでしょうか?
- ギア比と移動距離はどのように関係しているでしょうか?
- ギア減速をするべき状況にはどのようなものがありますか?ギア減速をするべきでない状況はどうでしょうか?
組み立てのヒント
組み立て説明書
モデルを使う
ロボットを壁から10 cm以上離れた位置に、超音波センサーが壁に対して垂直になるように置きます。プログラムを実行し、EV3アイコンがディスプレイに表示されるまで待ちます。EV3 ブロックの中央ボタンを押してテスト走行を行います。スタート位置から壁までの距離が超音波センサーによって測定され、タイマーがリセットされます。ロボットはL モーターを1回だけ回転させながら壁と逆方向に進みます。壁までの距離が再び測定され、経過時間がカウントされ、移動距離、速度、回転速度 が算出されます。算出された値はディスプレイに表示され、再び中央ボタンを押すともう一度テスト走行が実行されます。
超音波センサーを使う
超音波センサーはサウンドコーンを形成する音波パルスを発し、コーンの中にある物体を検出します。実験をはじめる際は、ロボットの隣や超音波センサーの検出圏内に立たないようにしてください。超音波センサーの背後に立つことをおすすめします。
実験を行う
生徒が実験を行う際、以下の点に注意するよう促してください:
- 移動距離 (cm)、速度 (m/秒)、回転速度 (毎秒回転数) がディスプレイに表示されます。
- 実験の回数、ギア比、結果予測、移動距離、速度をチェック表に記録します。そのほかに気づいた点も記入できるよう、十分なスペースを空けておきます。
- ギア列の各バリエーションに対して実験を3回以上行い、平均値を用いることで実験結果の信頼性を高めます。
- ギア列の変更方法については「ヒント」にある画像を参考にしてください。
プログラミングのヒント
プログラム
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- ギア比がロボットの移動距離と速度にどのように関係しているかを生徒と一緒に分析する。
- 調査するギア列の数を減らす。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- 平均値 (算術平均と中央値の違い、外れ値の影響など) を用いることで実験における測定誤差を均等にふりわけることの重要性を説明する。
- ギア比に基づいて移動距離を予測 (算出) できる数式を考えるよう促す。
- 実験の精度を向上させる方法を見つけられるかどうか挑戦させる。
学習評価
この学習におけるルーブリックの例
次のルーブリックを参考に、評価規準や判定基準を作成しましょう。
1.課題を部分的にこなした。
2.課題を十分にこなした。
3.期待を上回る達成度であった。
以下の成功基準を使用して、生徒の進度を評価します。
- 実験結果を予測するうえでギア比がどのような役割を果たしているかを説明できた。
- 数学的な概念および/またはプロセスを応用して ギア比と移動距離との関係を特定することができた。
- 実験の手順を評価し、独立変数、従属変数、制御変数を特定することができた。
自己評価
それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるレベルを選ばせます。
- ブロンズ:実験はできたが、実験結果を予測するうえでギア比がどのような役割を果たしているかを説明できなかった。
- シルバー:助けを借りて、実験結果を予測するうえでギア比がどのような役割を果たしているかを説明できた。
- ゴールド:実験におけるギア比の役割に対する理解を用いて、重量物を運ぶ自動車にどのギア比を使うべきかを予測することができた。
- プラチナ:実験におけるギア比の役割に対する理解を用いて、重量物を運ぶ自動車にどのギア比を使うべきかを予測することができた。また、速度の速い自動車を作るにはどのギア比を使うべきかを予測することができた。
国語の発展課題
言語能力の発達を促すために、生徒に以下のタスクに取り組んでもらいます:
- 実験の結果と、ギアチェンジが役に立つ分野の例を簡単にまとめたレポートを作成する。
- 実験の結果と、そこから学んだことを説明するプレゼンテーションを作成する。
注:これにより、さらに長い授業をすることができます。
職業適性
この授業を楽しむことができた生徒は、以下の進路について興味がある可能性があります。
- プレ・エンジニアリング
- 科学、技術、工学及び数学(理科学研究者)
- 自動車エンジニア