スロープを上る
急な傾斜のスロープを上ることができるロボットの設計、組み立て、プログラミングに取り組みます。
レッスンプラン
1.準備
- EV3 Classroom アプリの生徒用資料を読み、学習課題をよく理解しておきましょう。
- このレッスンでは、スロープを作る長い板や発泡スチロールの板と、傾斜角度を調節するのに使える本やブロックなどが必要です。
- 分度器を使って傾斜角度を測定するか、メジャーを使って勾配 (底辺:高さ) を測定します。
- レースを公平にするために、すべてのEV3 ブロックに完全に充電されたEV3 充電式バッテリーか新品の電池を使用してください。
- 2時間連続で授業を行うことができない場合は、このレッスンを数回に分けて行えるように授業計画を立ててください。
パート A.
2.興味付け (10分)
- 「ディスカッションを活性化させる」セクションのアイデアを参考に、生徒の学習への関心を喚起します。
- プロジェクトの概要を説明します。
- 生徒にペアを組ませます。
3.探求 (35分)
- ペアごとにブレインストーミングをさせ、急な傾斜のスロープを上ることができるロボットの設計アイデアを出してもらいます。
- 複数のプロトタイプを制作し、本体の構造とプログラムの両方で複数のアイデアを試すよう促してください。
パート B.
4.説明 (10分)
- チームごとにロボットにスロープを上らせる実験を3回以上行い、その結果を記録するよう指示してください。
- 各チームに自分たちでチェック表を作成できていることを確認させます。
5.仕上げ (35分)
- チャレンジに挑戦する準備ができるまでロボットの制作を続けさせてください。
- 清掃の時間も忘れずに確保してください。
6.評価
- それぞれの生徒に取り組みを評価して伝えます。
- 各チームのデザインの独創性とチームワークを評価します。
- 評価の際は、以下に提示するルーブリックを参考にすると良いでしょう。
ディスカッションを活性化させる
フォーミュラ・オフロード は、急斜面などの過酷な環境下でスピードを競うモータースポーツ競技です。急斜面を上るのはばかげたことのように思えるかもしれませんが、これができる自動車を作るには、トルクやギア、摩擦に関する専門知識が必要です。この競技は、過酷な環境を克服して人命を助ける人命救助隊に対する認識を高めるとともに、募金を募ることを目的としてアイスランドで作られました。
以下のような質問をして、自動車で斜面を上ることについてのディスカッションを促してください:
- 急斜面をどのように定義しますか?
- 急斜面を上れる機能は、どのような状況で役立つでしょうか?
課題設定
急な傾斜のスロープを上ることができるロボットの設計、組み立て、プログラミングに取り組みます。
課題設定の条件を満たす製作例です:
組み立てのヒント
オープンエンドの解決方法
このプロジェクトは、各チームが独自の解決方法を考えることができるようにデザインされています。以下のような質問をしてチームごとにブレインストーミングをさせ、課題を解決するアイデアを出してもらいましょう:
- ギアをどのように使えばモーターの出力を上げることができますか?
- 斜面を上る機能が必要な場合、ロボットのデザインをどのように変えればよいでしょうか?
傾斜を調整できるスロープを準備する
調整可能なスロープを作るには、長さが約1 mの木の板や発泡スチロールの板を使います。本やブロックなどを使って傾斜を調整します。
テストを行う
生徒が解決方法をテストする際、以下の点に注意するよう促してください:
- テストの回数、傾斜角度、ギア比、モーター出力をチェック表に記録します。そのほかに気づいた点も記入できるよう、十分なスペースを空けておきます。
- ロボットを3種類以上の傾斜角度でテストします。
- 角度を調整するごとにテストを行い、どのような変化があったかを観察します。
製作例
課題設定の条件を満たす製作例です:
プログラミングのヒント
プログラム例
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- ギアを減速してモーターの機械的利点を向上させる方法を生徒と一緒に考える。
- 生徒同士で教え合うよう促す。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- どのチームのロボットが一番早くスロープを上ることができるか競争させる。
- 表面がやや滑りやすい、頑丈な板を使ったスロープで実験を行う。
学習評価
この学習におけるルーブリックの例
次のルーブリックを参考に、評価規準や判定基準を作成しましょう。
1.課題を部分的にこなした。
2.課題を十分にこなした。
3.期待を上回る達成度であった。
以下の成功基準を使用して、生徒の進度を評価します。
- 課題設定の条件を満たすロボットをデザインすることができた。
- ギア構造を使ってロボットのトルクを向上させる方法を理解することができた。
- 独創的な解決方法を考え、複数の解決方法を検討することができた。
自己評 価
それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるレベルを選ばせます。
- ブロンズ:平らな面で移動できるロボットを制作できた。
- シルバー:傾斜の緩やかなスロープ (15°) を上ることができるロボットを制作できた。
- ゴールド:傾斜の急なスロープ (30°) を上ることができるロボットを制作できた。
- プラチナ:非常に傾斜の急なスロープ (45°) を上ることができるロボットを制作できた。
国語の発展課題
言語能力の発達を促すために、生徒に以下のタスクに取り組んでもらいます:
- ロボットの特徴と性能をまとめたプレゼンテーションまたはビデオを制作する。
- 自分たちが作ったプログラムの重要ポイントを説明するプレゼンテーションを制作する。
注:これにより、さらに長い授業をすることができます。
職業適性
この授業を楽しむことができた生徒は、以下の進路について興味がある可能性があります。
- コンピュータープログラミング
- プレ・エンジニアリング
- 科学、技術、工学及び数学(科学技術)
教師用サポート
学習内容:
- 急な傾斜のスロープを上ることができるロボットを組み立て、プログラムする
- 機械の速度と出力は機械的な力や電力を変えることによって調整できることを理解する
教育版® レゴ マインドストーム® EV3 基本セット
EV3 Classroom アプリ
スロープを作る長い板 (または発泡スチロールの板)
ブロックや本など、傾斜角度を調節するのに使えるもの
分度器またはメジャー
中学校
数学
- B 図形:三平方の定理
理科
- 第1分野:(5)運動とエネルギー
技術・家庭
- C エネルギー変換の技術:(2)エネルギー変換の技術による問題の解決
- D 情報の技術:(3)計測・制御のプログラミングによる問題解決
総合的な学習の時間
- (3)探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う
高校
情報
- 情報Ⅰ:(3)コンピュータとプログラミング
- 情報Ⅱ:(5)情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究
総合的な探究の時間
- (3) 探究に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,新たな価値を創造し,よりよい社会を実現しようとする態度を養う