足元に注意
速さが一定な動作の運動エネルギーを調べてみましょう。
関心を引きつける
(授業前、20分)
このレッスンでは一定の速さで歩いている人の運動エネルギーについて調べます。まず生徒に歩数をカウントさせます。次に、この歩数を用いて、歩いた距離と平均の速さ、平均運動エネルギーを計算します。ハブには加速度計が内蔵されており、3つの軸 (上下、左右、前後) における動作を検出することができます。ハブを腰の位置に取りつければ、歩く際にハブも一緒に動き、加速度を記録します。生成されたグラフからは、記録された加速度の最小値と最高値を確認することができます。 最小値と最高値の精度は、歩く際にハブを固定する縦の位置によって決まります。「歩数」の精度は最小値と最高値の質の高さと、プログラムに使用された校正値によって決まります。
様々な資料を使って運動エネルギーのトピックに生徒の関心を引きつけてください。
ディスカッションを活性化させる
レッスンに関連する質問を問いかけ、ディスカッションを促しましょう。質問の例:
- どうすれば人が歩く速さを測定できますか?
- 動いているもののエネルギーを測定または計算するにはどのような方法があるでしょうか?
- それはどのようなエネルギーですか?
考えた答えを仮説としてノートに書かせます。
探究する
(授業中、30分)
- 歩数をカウントできる万歩計を組み立てさせます。オリジナルモデルを制作しても、アプリの「万歩計」の組み立て説明書を見ながら制作しても構いません。
- サンプルプログラムを使ってモデルの動作を試してもらいましょう。
- 時間にともなう加速度の変化を示すグラフを見て、どこが「一歩」になるかを説明させます。
説明する
(授業中、15分)
- プログラムを調整してモデルの性能を向上させる時間をとってください。
- 実験ではできるだけ多くのデータを記録するよう促します。
- ほかのソフトウェアで使えるよう、集めたデータをCSVファイルとしてエクスポートしてもらいます。
さらに実践する
(授業後、25分)
- 授業の後にも生徒がSPIKEプライムセットを使用できる場合は、SPIKEアプリのタスクを行い、ハンズオン学習をさらに実践しましょう。例えば:
- 歩く際の運動エネルギーを手作業で図にするか、グラフを描くプログラムを作成させます。ドッキングステーションをデバイスとし て使用して、このタスクを実行するようプログラムします。
- 授業後にセットを使用することができない場合は、生徒用発明ノートを完成させるか、下の発展課題のうち1つに取り組ませます。大半の発展課題は、ハンズオン体験で収集したデータを使って解くことができます。
- 生徒が実験結果について発表し、情報を共有する時間を設けてください。手段は問いません。最も効率的だと思うものを選んでください (対面、オンラインなど)。
評価する
- それぞれの生徒に取り組みを評価して伝えます。
- 評価の際は、以下に提示するルーブリックを参考にすると効率的に作業できます。
学習評価
この学習におけるルーブリックの例
次のルーブリックを参考に、評価規準や判定基準を作成しましょう。
- 課題を部分的にこなした。
- 課題を十分にこなした。
- 期待を上回る達成度であった。
以下の成功基準を使用して、生徒の進度を評価します。
- データを折れ線グラフに記録するプログラムを作ることができる。
- 折れ線グラフの値の意味を解釈することができる。
- 運動エネルギーと速度の関係を説明することができる。
自己評価
それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるブロックを選ばせます。
- 青:アプリのサンプルプログラムを使ってデータをグラフにすることができた。
- 黄:オリジナルの折れ線グラフを作成し、結果を説明することができた。
- バイオレット:自分の力で新しい実験を考えることができた。
仲間のフィードバック
次の方法で、生徒同士でフィードバックをやりとりするよう促します。
- 上記の色付きブロックの評価方法を使用し、ほかの生徒のパフォーマンスを評価する
- 次のレッスンでより良い取り組みができるよう、お互いに建設的なフィードバックをする「仲間の評価」は、ハイブリッド型学習でビデオ会議やブログの投稿を使って行うのに最適です。
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう。
- ハブだけを使って同じ実験をする- ハブが床面に対して垂直になっていない場合は測定データを歩数として使用できないため注意する。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう。
- オリジナルの万歩計を制作する
- スマートフォンやタブレットを万歩計として使用して同じ実験を行い、両方の実験の結果を比較する
- これにはデバイスのセンサー値を視覚化するアプリが必要です
ヒント
組み立てのヒント
プログラミングのヒント
このレッスンは、ハブがUSBまたはBluetoothで接続されている間に再生できるように設計されています。このモードでは、ハブが収集したデータはデバイスに直接ストリーミングされ、折れ線グラフがリアルタイムで作成されます。
メインプログラム
プログラム例
サイエンスデータのヒント
この実験で収集されるデータの一例です。
発展課題
数学の発展課題
数学スキルの発展的課題として以下の課題を行います。
- この実験で概算が必要となった部分はどこか質問する。人が歩く際の歩幅は毎回同じになることはなく、万歩計の成功率には限界があることを生徒に説明する (一定の量の誤差があります)。
- 人が正確に同じ動作を繰り返すことができたと仮定して、グラフの「一歩」がどのような曲線になるかを説明させる。
注:時間が別途必要です。
国語の発展課題
国語スキルの発展的課題として以下の課題を行います。
- スマートウォッチやスマートフォンが歩数をカウントする仕組みを調べさせる。それぞれのテクノロジーの仕組みについて、誤差 (%) を含めて短い説明文を書くよう指示する。
- AIの視点から、パターン認識がスマートデバイスによる歩数の検出にどのように役立っているかを調べさせる。
注:時間が別途必要です。
職業適性
この授業を楽しむことができた生徒は、以下の進路について興味がある可能性があります。
- 療法士
- エンジニアリング、テクノロジー
教師用サポート
学習内容:
• 時間にともなう加速度の変化を表したグラフを観察し、歩数を数える方法を学習します。
• 歩数を平均の速さに換算し、歩行中の平均運動エネルギーを求める
レゴ® エデュケーション SPIKE™ プライムセット
レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス
小学校学習指導要領
*国語 第2-2-A-(1)-イ *
話の内容が明確になるように、事実と感想、意見とを区別するなど、話の構成を考えること。
*国語 第2-2-B-(1)-エ *
引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫すること。
*国語 第3-3-(2)-エ *
科学的、論理的に物事を捉え考察し、視野を広げるのに役立つこと。
*算数 第2-第6学年-2-C-(1)-ア-(ア) *
比例の関係の意味や性質を身に付けること。
算数 第2-第6学年-2-D-(1)~(2) データの活用
*算数 第2-第6学年-2-[数学的活動]-(1)-ア *
日常の事象を数理的に捉え問題を見い題して解決し、解決過程を振り返り、結果や方法を改善したり、日常生活等に生かしたりする活動
*算数 第3-2-(2) *
数量や図形についての感覚を豊かにしたり、表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため、必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。
*理科 第2-第6学年-2-A-(4)-イ *
電気の性質や働きについて追求する中で、電気の量と働きとの関係、発電や蓄電、電気の変換について、より妥当な考えをつくりだし、表現すること。
*理科 第3-2-(1) *
問題を見出し、予想や仮説、観察、実験などの方法について考えたり説明したりする学習活動、観察、実験の結果を整理し考察する学習活動、科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などを重視することによって、言語活動が充実するようにすること。
中学校学習指導要領
数学 第2-[第1学年]-1-(2)
数の範囲を拡張し、数の性質や計算について考察したり、文字を用いて数量の関係や法則などを考察したりする力、(中略)数量の変化や対応に着目して関数関係を見出し、その特徴を表、式、グラフなどで考察する力、データの分布に着目し、その傾向を読み取り批判的に考察して判断したり、不確定な事象の起こりやすさについて考察したりする力を養う。
数学 第2-[第1学年]-2-[数学的活動]-(1)-ア
日常の事象を数理的に捉え、数学的に表現・処理し、問題を解決したり、解決の過程や結果を振り返って考察したりする活動
数学 第2-[第2学年]-2-C-(1)-ア-(イ)
一次関数を用いて具体的な事象を捉え考察し表現すること。
技術・家庭 第2-[技術分野]-2-D-(3)-ア
計測・制御システムの仕組みを理解し、安全・適切なプログラムの制作、動作の確認及デバッグ等ができること。
技術・家庭 第2-[技術分野]-2-D (4)-ア
生活や社会、環境との関わりを踏まえて、技術の概念を理解すること。
高等学校学習指導要領
情報Ⅰ 2-(3)-ア~イ コンピュータとプログラミング
コンピュータで情報が処理される仕組みに着目し、プログラミングやシミュレーションによって問題を発見・解決する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
情報Ⅱ 2-(3)-ア~イ 情報とデータサイエンス
多様かつ大量のデータを活用することの有用性に着目し、データサイエンスの手法によりデータを分析し、その結果を読み取り解釈する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
情報Ⅱ 2-(5) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探求
「情報Ⅰ」及び「情報Ⅱ」で身に付けた資質・能力を総合的に活用し、情報と情報技術を活用して問題を発見・解決する活動を通して、新たな価値の創造を目指し、情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する資質・能力を高めることができるよう指導する。