台風にそなえよう
大きな台風が来たら、ペットのお家もこわれてしまうかも!ということに気づいたダニエル。台風の間も大切なペットが安全にすごせるお家をダニエルといっしょに設計しよう。
準備
(注: このレッスンはパートAとパートBに分かれています。どちらのパートも学習指導要領に関連した学習に大切な内容が含まれています。時間が限られている場合、両パートを確認したうえで授業で扱う部分を適宜選んでください。)
このレッスンの学習のポイントは、自分たちで考えた小屋の設計によって特定の問題を解決できるということを、モデルを使って明確に伝えることで得られます。このレッスンでは、デザイン例を参考にして、ペット小屋を組み立てます。自分たちの自由なアイデアで設計を考えて、組み立てるよう促しましょう。
- 理科の基礎知識 - 台風にそなえよう: 天気が建物に及ぼす被害の種類によって、気象災害への対策は異なります。
- 風の速さと向きのほか、吹き方もすべて、建物の安定性に影響します。建物の強風対策としては、建物の継ぎ目や土台とのつながりをしっかりさせる、風向きを変えられるもの (防風林など) の後ろに建てるなどがあります。
- 雪が積もると大変重く、屋根の1ヵ所に雪の重さがかかってしまうと、屋根が壊れることがあります。X字型または斜めに入れる補強材を入れて強さを増したり、屋根の傾斜を急にして雪が滑り落ちやすくしたりします。
- 洪水に対しては、建物を高床にする、水に強い材料を使う、土地に傾斜をつくって水はけをよくするなどの対策があります。
- 雷雨でかみなりが落ちると、建物を直撃して被害を受けたり、近くの木に落ちて、その木が建物に倒れてきたりします。
- 予備知識を身につけよう - 台風にそなえよう: 理科の教科書・教材を使って、情報・図/画像・用語の定義などを予備知識として学びます。
- 強風・洪水・落雷・大雪などによる被害を気象災害といいます。
- 建物を立てる場所や建て方を工夫することで、気象災害の被害を減らせます。
- 意見とは、ある問題点に関する議論への回答であり、根拠と理論性を用いて、なぜある1つの解決策が問題点に対する回答となっているかを伝える文章によって裏付けられるものです。証拠には、理由と事実にくわえて、論理的な因果関係 (大雨で洪水が起きる、落雷で火事が起きるなど) も含まれます。
- 重要なキーワード: 災害 (さいがい)・主張 (しゅちょう)・意見 (いけん)
- モデルの組み立てとプログラミング:ユニットプランの学習前の推奨事項をご確認ください。その他の準備:
- SPIKE アプリの [開始] メニューにある [内蔵ジャイロセンサー] と [ライト] のチュートリアルアクティビティで復習する。
- SPIKE アプリの [ヘルプ]>[ワードブロック] にあるセンサーブロック、サウンドブロック、ライトブロックのセクションを読み、ジャイロセンサー、ライトマトリクス、サウンドをプログラミングして台風のような天気を表現する様々なやり方を考えるヒントにする。
- 「空とぶヘリコプター」レッスンを用いて、ジャイロセンサーを使ってみる。
パートA (45分)
関心を引きつける
(クラス全員・10分)
ストーリーの主なキャラクターと最初の課題を紹介します: 大きな台風が来たら、ペットのお家もこわれてしまうかも!ということに気づいたダニエル。台風の間も大切なペットが安全にすごせるお家をダニエルといっしょに設計しよう。
考える — このレッスンのトピックについて、(必要に応じてストーリーの絵を見せながら) 教室内で話し合いのきっかけとなる問いかけをします。
- 台風のほかに、気象災害を起こすかもしれない天気の現象をいくつかあげてみよう。(大雨・大雪・強風・落雷・竜巻など)
- 今あげてくれた天気で起こる災害の被害を小さくするために、人々は建物にどんな工夫をしてるかな?(予想される回答: 水に強い材料を使った支柱の上に建物を建てて、洪水の水位よりも高くする。重い雪を支えられるくらい頑丈な屋根を作り、雪が滑り落ちやすいように屋根の角度を斜めにする。風で吹き飛ばされるような広い平面を作らない。風を防ぐための木を植える。避雷針をつける。竜巻シェルターを建てる。など)
- 台風で起こりそうな災害をひとつ選んで、その被害を小さくするようなペット小屋を設計して組み立てよう。
SPIKE ベーシック セットとプログラミング用デバイスを各グループに1セットずつ配ります。
探究する
(少人数グループ・25分)
組み立てやプログラミングに取り組む際に、参考として下のデザイン例を見せても (配布しても) よいでしょう。下の例は、モーター付きの防風装置がついたペット小屋のアイデアであることを明確に伝えてます。自分が選んだ台風被害とその被害を小さくする建物のアイデアを示すモデルを作るように指示します。
児童のタスク:
- ダニエルのペット小屋の組み立てとプログラミングに取りかかり、自分たちが選んだ台風の被害を小さくするためのしくみを取り入れる。希望があれば、基本モデルとプログラミング例を参考にさせてもよいでしょう。
台風のようすの表現方法、台風の間ペットを守ってくれるモデルの組み立て方やプログラミングの方法について、たくさんのアイデアを出して話し合うよう促します。たとえば、かみなりの音と光を表現するためにライトマトリクスと雷鳴のサウンドを使う、小屋が傾いて吹き飛ばされそうになるのがわかるようにチルトセンサーを使う、デザイン例のようなモーター付きの防風装置をつけるなど、様々な工夫を考えましょう。
説明する
(クラス全員・10分)
クラス全員を集めて発表の時間を設けます。
グループごとに自分たちが作ったモデルを使って、次のポイントを説明し、実演も行います。
- 設計はどのような種類の台風被害に対応することができるのか(証拠も示す)。
- 台風災害の被害を小さくする設計の工夫 (証拠も示す)。
- 問題の解決方法としてその設計を選んだ理由 (証拠)。
- 作ったプログラミングの機能。
作業の進み具合を発表しあい、他の児童の発表からひらめいたアイデアを取り入れるよう促します。
パートBで、さらに組み立て・プログラミング・説明を続けるので、ここまでにできたモデルを分解しないでそのままにしておくように指示します。モデルを分解した場合は、組み立て直す時間を与えます。
パートB (45分)
説明する
(クラス全員・10分)
- パートAの説明するからもう一度繰り返し、児童たちに発表や、アイデア出しと話し合いをさらに行って、モデル作りとプログラミングを続けてもらいます。
さらに実践する
(クラス全員・25分)
児童のタスク:
- (10分) 説明するセクションの発表でひらめいたアイデアを取り入れて、組み立てとプログラミングを続ける。例: センサーを追加した設計に改良し、プログラミングするこ。
- (10分) 完成したモデルを使い、改良についての説明から得られた証拠や理由を追加したり、よりわかりやすくさせるなどして、作った設計がペットを災害から守るしくみについて明確に伝える。
(5分) 次のことがらについて、わかったこと・考えたこと・使った技術をお互いに発表しあいます。
- 課題をクリアするのに役立ったこと。
- 組み立て中に学んだこと。
作業した場所と使ったセットを片付ける時間を取ります。
評価する
(クラス全員・10分)
- アイデア出し、組み立て、プログラミングの間に児童たちが考えたことや決めたことを引き出すような問いかけをします。
この学習におけるルーブリックの例
学習の目的を確認します。(_教員用サポート_を参照)
次のポイントについて、児童の学習進度をチェックします。
- 作ったモデルには、選んだ気象災害の被害を小さくすることを目的とした機能がついていますか?
- 自分たちの設計によってペットを災害から守れることを主張できていますか?
- 気象災害がもとで起こる問題の内容 (例: 大雪でペット小屋の屋根に積もった雪のために小屋が壊れる) と自分たちのペット小屋の設計がその問題を解決できる理由 (例: 雪が滑り落ちやすいよう屋根の傾斜を急にすれば屋根が壊れない) について、証拠を用いて主張を裏付けていますか?
自己評価
各自に、自分ができたことのレベルに合うブロックを選んで、成績をつけてもらいます。
- 青色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできると思う。
- 黄色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできる。
- 緑色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできて、クラスメートを手つだうこともできる。
仲間とのふり返り
少人数グループで、いっしょに作業した体験について話し合ってもらいます。
次のような表現を使うように促してください。
- XXさんが…したのはよかったと思う。
- XXさんが…したやり方をもっと教えて欲しいです。
個別対応
課題の難易度を下げる工夫:
- 課題となる台風による被害の種類を1~2種類 (基本モデルとプログラミング例に示されている防風装置など) に限定します。児童に「はい/いいえ」で答えられる問いかけをして、説明を引き出します。
課題の難易度を上げる工夫: - 2種類以上の気象災害に対応できる設計を考えるようにします。
発展課題
気象災害の被害を小さくすることを目的とした、国内や学校周辺の建築物の設計について調べるようにします。文章・口頭・動画作成など、好きなスタイルで調べた内容を発表します。
発展課題を行うと、45分間を超えるレッスンになります。
教師用サポート
児童のタス ク:
- 気象災害の被害を小さくする設計のペット小屋を組み立てる。
- 自分たちの作った小屋の設計が、どんなふうに災害からペットを守り、なぜ被害を小さくできるのかについて自分の考えを明確に伝える。
- 災害によって起こる問題の根拠と、自分の設計がその問題に対応できる理由を含め、意見を明確に伝える。
(2人一組)
- レゴ® エデュケーション SPIKE™ ベーシック 1セット
- レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス 1つ
- 理科第4学年2-B-(4) 天気の様子
- 総則第3節-1-(3)-イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
- 理科第3-2-(3) コンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用
- 国語第3学年及び第4学年2-A-(1) 話すこと・聞くこと
- 算数第4学年2-B-(1) 平面図形
国語発展課題
- 国語第3学年及び第4学年2-B-(1) 書くこと