じょうほうを伝えよう
マリア、レオ、ダニエル、ソフィーの4人は、ヒミツの暗号で連絡を取り合ってるんだって。みんなも自分たちだけのヒミツの暗号を作って、お友だちにメッセージを伝えよう。
準備
(注: このレッスンはパートAとパートBに分かれています。どちらのパートも学習指導要領に関連した学習に大切な内容が含まれています。時間が限られている場合、両パートを確認したうえで授業で扱う部分を適宜選んでください。)
このレッスンの学習のポイントは、パターン (暗号) を使ってメッセージを送る様々な方法を比べることで得られます。モデルを作ることで、児童たちが作った暗号を体験的に楽しくテストし、比較できます。自分たちで自由に暗号を作り、メッセージを送る装置を組み立てるよう、児童たちを促します。正解となるモデルが1つだけではないことを明確に伝えましょう。
- 理科の基礎知識 - じょうほうを伝えよう:
- 「探求する」セクションに示されているプログラミング例を理解しておいてください。この例では、ライトブロックやサウンドブロックを使い、様々な方法でパターンを使ったメッセージを送ります。
- 示されている方法はどちらも、1つの文字を数字に変えて、その数字がそれぞれライトの点滅や音を表す、換字式暗号を使っています (A=1・B=2など)。
- 作った暗号をテストするためには基準と条件が必要です。関心を引きつけるセクションで決めましょう。
- 予備知識を身につけよう - じょうほうを伝えよう: 理科の教科書・教材を使って、情報・図/画像・用語の定義などを予備知識として学びます。
- 数字・文字・音・光・記号のいずれかまたはその組み合わせでパターンを作り、メッセージを表すものを伝達信号と言います。信号の中でも、モールス信号は、光の点滅やピー音の長さ/短さの決まりで1つの文字を表します。
- 時代や場所が違っても、人々は多くの方式を作り、伝達信号の形で情報を送ってきました。
- 現在では、1と0の組み合わせで文章・音・画像を表すバイナリコードというパターンを使って、ひとつの場所から別の場所へ電子的に情報を送ることがよくあります。その0と1の数字は、スマホなどの電子機器でデコード (暗号を解いて) し、わたしたちが読み取れる形式になります。
- 基準とは、あるプロジェクトが「成功」するために満たさなければならないことがらです。たとえば、使いやすく、安全であることなどです。
条件とは、プロジェクトで「これをこえてはいけない」という決まりです。たとえば、時間やかかるお金などです。 - 重要なキーワード: パターン・伝達信号・情報 (じょうほう) 伝達・基準 (きじゅん)・条件 (じょうけん)
- モデルの組み立てとプログラミング:ユニットプランの学習前の推奨事項をご確認ください。その他の準備:
- SPIKE アプリの [開始] メニューにある [ライト] と [カラーセンサー] のチュートリアルアクティビティで復習する。
- 「Science」のユニット内の他のレッスンを1つ以上学んで、組み立ての体験を重ね、SPIKE アプリのワードブロックに親しんでおく。
- 「ひかりと音でつたえよう」レッスンのアイデアや組み立て方を参考にする。
- 準備するもの:モールス信号に関する印刷/デジタル資料を用意し、「関心を引きつける」セクションで配ります。
パートA (45分)
関心を引きつける
(クラス全員・10分)
ストーリーの主なキャラクターと最初の課題を紹介します: マリア、レオ、ダニエル、ソフィーの4人は、ヒミツの暗号で連絡を取り合ってるんだって。みんなも自分たちだけのヒミツの暗号を作って、お友だちにメッセージを伝えよう。
考える — このレッスンのトピックについて、(必要に応じてストーリーの絵を見せながら) 教室内で話し合いのきっかけとなる問いかけをします。
- 決まったパターンを使って情報を伝える方法には、どんなものがあるかな? (太鼓など音のパターン、長い信号と短い信号のパターンで伝えるモールス信号、空港や船からの情報を伝える光の信号などがあります。モールス信号のサンプルを用意しておくとよいでしょう。)
- 暗号作りにはどんな基準が必要かな? (パターンを使って情報を暗号化する、メッセージが正確に伝わる、使いやすくて速いシステムである、など)
- 条件 (これをこえないこと、という決まり) を考えてみよう。 (距離・材料・安全性の面を考えます。一度にたくさんの人が動き回ることがないようにする、ゆっくりしか伝わらない伝達信号では急ぎのメッセージが間に合わない、など)
- 自分たちで基準と条件を決めるのを手助けしてください。クラス全体で条件と制約を揃えておくと、ペアごとの比較がしやすくなります。選択肢を多く与えて、多様な伝達信号ができるよう促しましょう。
SPIKE ベーシック セットとプログラミング用デバイスを各グループに1セットずつ配ります。
探究する
(少人数グループ・25分)
児童がプログラミングに取り組む際に、参考として下のサンプル暗号を見せても (配布しても) よいでしょう。正解となるモデルとプログラムが1つだけではないことを明確に伝えましょう。このレッスンは、オープンエンドの課題であり、モデルやメッセージを伝える暗号を自由に考えて組み立てて良いことを伝えてください。
児童のタスク:
- アルファベットのA~Eまでを使って単語を伝える暗号を少なくとも2種類の方法で作って書く (例: A = オオカミの鳴き声・B = 鳥の鳴き声・C = ネコの鳴き声…など)。
- 異なる暗号システムを使ってメッセージを送るモデルを組み立ててプログラミングに取りかかり、クラスメートとの情報のやり取りに役立つかどうかを確かめる。
- 先に決めた基準と条件をもとに、ペアのパートナー同士または他のペアの児童といっしょに、作った暗号をテストする。
ライトマトリクスでパターンを描いて情報を伝えるプログラミングをする方法について、たくさんのアイデアを出して話し合うよう促します。自分たちで決めた暗号作りの基準と条件を使って、下のようなテストができるでしょう。
- A~Eの文字の暗号を使い、ライトマトリクスのピクセル数でBEDという単語を表す。
- A~Eの文字の暗号を使い、動物の鳴き声でBEADという単語を表す。
作業時間の途中で、通常の授業で慣れた話し合いのスタイルで、児童にアイデア交換を促し、そこでひらめいたアイデアをもとにモデルを改良させます。
デザイン例
説明する
(クラス全員・10分)
クラス全員を集めて発表の時間を設けます。
グループごとに自分たちが作ったモデルを使って、次のポイントを説明し、実演も行います。
- 試作の暗号で、情報を伝えるためのパターンを複数使っていること。
- 暗号作りに使った基準と条件。
- 自分たちが作った2種類の暗号のテスト結果の比較。
- 情報を伝えやすい暗号が作れたかどうか、そしてその工夫。
モデル作りまたはプログラミングでうまくいかないと感じている部分についても発表させ、児童からの提案を引き出しましょう。
パートBの説明するにそのまま進む場合は、児童たちにモデルを分解しないでそのままにしておくよう指示します。モデルを分解した場合は、組み立て直す時間を与えてください。
パートB (45分)
説明する
(クラス全員・10分)
- パートAの説明するからもう一度繰り返します。すなわち発表や、アイデア出しと話し合いをさらに行って、 モデルのプログラミングを続けさせます。
さらに実践する
(クラス全員・30分)
児童たちが互いのデザインを見て評価するための方法を決めまる。例: ペアの一人が外側・もう一人が内側になって2重の円を作り、外側の円の児童と内側の円の児童が反対向きに動いて、新しいペアのパートナーを作るなど。情報を伝える速さ・正確さ・使いやすさなど、児童たちが決めた主な基準に照らし合わせてみるなどして、自分たちが見ている2つのモデルの比較データを収集・記録する。試してみたいアイデアを書き出し、クラスメートにヒミツのメッセージを送るのに一番良い暗号のデザインはどれか考えさる。
児童のタスク:
- (15分) 発表での意見交換でひらめいたアイデアを取り入れて、組み立てとプログラミングを続ける。
- (10分) 完成したモデルを使って、クラス全体に作った暗号とテスト結果を発表し、クラスのみんなで様々な暗号のデザインについて、情報を伝える速さ・正確さ・使いやすさの基準の達成度を比べる。クラスメートにヒミツのメッセージを伝えるという課題を一番うまく解決する暗号を、投票で決める。
(5分) 次のことがらについて、わかったこと・考えたこと・使った技術をお互いに発表しあいます。
- 課題をクリアするのに役立ったこと。
- モデルのデザインを考え、プログラミングする間に学んだこと。
作業した場所と使ったセットを片付ける時間を取ります。
評価する
(クラス全員・5分)
- アイデア出し、組み立て、プログラミングの間に児童たちが考えたことや決めたことを引き出すような問いかけをします。
この学習におけるルーブリックの例
学習の目的を確認します。(_教員用サポート_を参照)
次のポイントについて、児童の学習進度をチェックします。
- パターンを使って情報を伝える方法を2種類以上作っていますか?
- 作った暗号システムをテストしたり使ったりするための基準 (例: メッセージが正確に伝わる、情報の暗号をもとに戻す (エンコード) ためのパターンを使う、システムが使いやすくて情報が速く伝わるなど) と条件(距離・材料・安全性など) を決めていますか?
- 情報を伝える速さ・正確さ・使いやすさに基づいて、暗号を評価してください。
自己評価
各自に、自分ができたことのレベルに合うブロックを選んで、成績をつけてもらいます。
- 青色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできると思う。
- 黄色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできる。
- 緑色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできて、クラスメートを手つだうこともできる。
仲間とのふり返り
少人数グループで、いっしょに作業した体験について話し合ってもらいます。
次のような表現を使うように促してください。
- XXさんが…したのはよかったと思う。
- XXさんが…したやり方をもっと教えて欲しいです。
個別対応
課題の難易度を下げる工夫:
- 点滅1回 = 「いいえ」/点滅2回 = 「はい」で答えられる簡単な質問に答える暗号のパターンに限定して暗号作りを行います。 「はい/いいえ」で答えられる質問にしたり条件を少なくして、課題に取り組みやすくする足掛かりとします。
課題の難易度を上げる工夫:
- 暗号に使うアルファベットの文字を増やして、ほかの単語を使った情報を伝えられるよう、設計を工夫させます。 (サンプルコードではA~Eしか示していません。) 暗号の種類によっては伝える種類を増やしにくいという問題にぶつかることがあると自分たちで気づけるよう導きましょう。
発展課題
- 歴史上の大切な場面で使われた暗号・信号なども含めて、情報を伝えるために使われたコードやパターンについて学べる資料を用意します (例: モールス信号、南北戦争の手旗信号、第一次世界大戦のチョクトー族のコードトーカー、第二次世界大戦のエニグマ暗号機などのほか、「歴史上の優れた暗号」等で検索してください)。挙げた例の中から、児童に暗号をひとつ選んでもらい、そのしくみを絵や文章で説明するポスターを作って学んだことを発表させます。
発展課題を行うと、45分間を超えるレッスンになります。
教師用サポート
児童のタスク:
- パターンを使って情報を伝える方法を2種類以上作る。
- 作った方法をテストするための基準と条件を決める。
- それぞれの方法を情報を伝える速さ・正確さ・使いやすさで評価する。
(2人一組)
- レゴ® エデュケーション SPIKE™ ベーシック 1セット
- レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス 1つ
- 準備セクションの「準備するもの」参照
- 理科第3学年2-A-(3) 光と音の性質
- 総則第3節-1-(3)-イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
- 理科第3-2-(3) コンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用
- 国語第3学年及び第4学年2-A-(1) 話すこと・聞くこと
国語発展課題
- 国語第3学年及び第4学年2-B-(1)-ア〜オ 書くことに関する次の事項を身に付ける