自然災害にそなえよう
地球には、地しんが起こる場所があることをレオは知ってるんだ。レオといっしょに、地しんでこわれない建物を設計して、みんなが安全にくらすお手つだいをしよう。
準備
(注: このレッスンはパートAとパートBに分かれています。どちらのパートも学習指導要領に関連した学習に大切な内容が含まれています。時間が限られている場合、両パートを確認したうえで授業で扱う部分を適宜選んでください。)
このレッスンの学習のポイントは、地震による建物と、建物を使う人々への被害を減らす方法をいくつか比べること通して得られます。クラスの中で比較する必要があるため、みんなが同じ減災モデルを作ることがないよう導いてください。設計例とサンプルプログラムとして、建物の減災効果をテストするための装置をつけた設計の建物の例をいくつか挙げています。例を参考に、自分たちのアイデアで地震に強い構造の建物を設計して組み立てるよう指示します。
注: 2人一組のペアでひとつの建物を組み立て、建築物の設計とテストの結果を別のペアと比べます。自分たちで比較基準を作るのを手助けしてください。
理科の基礎知識 - 地震: 地震は、突然の地殻変動や火山活動などの地球の自然現象が原因で起こります。
予備知識を身につけよう - 地震にそなえよう: 理科の教科書・教材 (ある場合はビデオ ― 「準備するもの」を参照) を使って、情報・図/画像・用語の定義などを予備知識として学びます。
- 地震とは、地球の自然現象で引き起こされる災害のひとつです (ほかには洪水・津波・噴火などがあります)。地震が起こると地面が激しく揺れて、建物が壊れたり倒れたりし、人々に被害が及ぶこともあります。
- 地震に強い建物をデザインするなど、様々な方法で地震の被害を減らす工夫ができます。地震に強い建物には、危険を減らすための形状や材料が取り入れられています。また、車のバンパーが事故のときにつぶれることでぶつかったエネルギーを吸収して車の中にいる人を守るように、建物の一部が壊れることで、建物全体が倒れてしまう仕組みもあります。
- ほかにも、緊急警報システムなど、人々がすぐに避難できるように警告する防災設備もあります。
- 重要なキーワード: 自然現象 (げんしょう)・自然災害 (さいがい)・地震 (じしん)
モデルの組み立てとプログラミング: ユニットプランの学習前の推奨事項をご確認ください。その他の準備:
- SPIKE アプリの [開始] メニューにある [モーター] のチュートリアルアクティビティで復習する。
- SPIKE アプリの [ヘルプ]>[ワードブロック] にあるイベントブロック、モーターブロックのセクションを読み、詳しい使い方や役割を知る。
準備するもの:地震の揺れ実験ビデオ (振動実験や耐震構造などで検索)。建物の背景などを作る場合にビデオを参考にしてもよいでしょう。
パートA (45分)
関心を引きつける
(クラス全員・10分)
ストーリーの主なキャラクターと最初の課題を紹介します: 地球には、地しんが起こる場所があることをレオは知ってるんだ。レオといっしょに、地しんでこわれない建物を設計して、みんなが安全にくらすお手つだいをしよう。
考える — このレッスンのトピックについて、(必要に応じてストーリーの絵を見せながら) 教室内で話し合いのきっかけとなる問いかけをします。
- 地しんで壊れにくそうな建物の形を考えよう。どうしてそう思う? (三角すいやピラミッドのような四角すいの形は安定していてゆれにくいでしょう。)
- 地しんでゆれてもこわれにくそうな建物の材料を考えよう。どうしてそう思う? (鉄は強いですが、折れたりこわれたりせずに曲がります。)
- 地しんの被害を小さくするためには、どんな設計の建物にしたらいいかな?(鉄で作った三角錐の建物など、良いと思われる材料と形を選んでテストし、さらに設計を改良して、もっとも良い構造を見つけましょう。)
SPIKE ベーシック セットとプログラミング用デバイスを各グループに1セットずつ配ります。
探究する
(少人数グループ・25分)
組み立てやプログラミングに取り組む際に、参考として下のデザイン例を見せても (配布しても) よいでしょう。下の例は、地震に強い建物のアイデアであることを明確に伝えてください。自分たちの自由なアイデアで、地震に強い構造の設計を考えて、組み立てるように促しましょう。
児童のタスク:
- 基本モデルを使って、地震を模した揺れ発生マシンと建物を組み立てます。揺れ発生マシンを使って建物をテストし、地震で壊れるかどうかをチェックします。
- いろいろなモーター速度で建物を揺らすようにプログラミングします。モーターの速さ (揺れの強さ) を変えてテストし、壊れたり倒れたりするまでの時間を記録します。低速からテストを始め、速度を上げていく (25%・50%・75%・100%) ようにしてください。すぐに倒れてしまう設計の建物はどれだろう?理由も考えよう。
レゴ®パーツを使って、揺れのテストに対して違った動きをする建物を作る方法について、たくさんのアイデアを出して話し合うよう促します。(例: 大きさや形 ― 細くて高い建物や土台が広く上部が重い建物など ―を変えたり、曲がることがあって折れない柔軟性のある材料を使ったりするなど。)モーター速度を変化させ、建物にかかる力が大きくなっていくことを表す方法を考えます。
作業時間の途中で、通常の授業で慣れた話し合いのスタイルで、児童にアイデア交換を促し、そこでひらめいたアイデアをもとにモデルを改良させます。
デザイン例
説明する
(クラス全員・10分)
クラス全員を集めて発表の時間を設けます。
グループごとに自分たちが作ったモデルとスケッチを使って、次のポイントを説明し、実演も行います。
- 建物のデザイン。(大きさ・土台の形・構造・材料の柔軟性などを説明するよう促します。)
- テストの結果。
- 地震の被害を減らす設計の建物の成功/失敗とその理由。
説明とテスト結果の発表をもとにして、地震による人への被害をもっとも減らせる設計の建物を、児童一人一人が決めるようにします。自分がその設計を選んだ理由を、少なくとも2つの建物を比べて説明できるよう導いてください。
モデルの機能を向上するためにどんな改良をしたのかを、お互いに発表しあいます。
パートBの説明するにそのまま進む場合は、児童たちにモデルを分解しないでそのままにしておくよう指示します。モデルを分解した場合は、組み立て直す時間を与えてください。
パートB (45分)
説明する
(クラス全員・10分)
- パートAの説明するの内容を繰り返し、さらに多くのグループに実演と説明を行ってもらいます。
さらに実践する
(クラス全員・30分)
(5分) 児童たちが実践を深められるような情報を与えます。日本には、緊急地震速報システムという、地震の発生と揺れがまもなく始まることをサイレン音で知らせるシステムがある。
(15分) アプリを使って次の課題が成功するまで、児童たちにモデルのテストを繰り返すよう促します。
- もうすぐ 地震が起こることを知らせるアラーム音が鳴るように建物モデルのプログラムを改良する。
(10分) 次のことがらについて、わかったこと・考えたこと・使った技術をお互いに発表しあいます。
- 課題をクリアするのに役立ったこと。
- 組み立て中に学んだこと。
作業した場所と使ったセットを片付ける時間を取ります。
評価する
(クラス全員・5分)
- アイデア出し、組み立て、プログラミングの間に児童たちが考えたことや決めたことを引き出すような問いかけをします。
この学習におけるルーブリックの例
学習の目的を確認します。(_教員用サポート_を参照)
次のポイントについて、児童の学習進度をチェックします。
- 建物と揺れ発生マシンを組み立てて、その2つを組み合わせて建物の地震への強さをテストできるようプログラミングできていますか?
- 地震による人への被害を減らす効果について比較基準を決めて、自分たちの設計した建築を評価していますか?
- 少なくとも2つの建物モデルを比べて、どれがもっとも効果的だったと判断したか説明できていますか?
自己評価
各自に、自分ができたことのレベルに合うブロックを選んで、成績をつけてもらいます。
- 青色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできると思う。
- 黄色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできる。
- 緑色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできて、クラスメートを手つだうこともできる。
仲間とのふり返り
少人数グループで、いっしょに作業した体験について話し合ってもらいます。
次のような表現を使うように促してください。
- XXさんが…したのはよかったと思う。
- XXさんが…したやり方をもっと教えて欲しいです。
個別対応
課題の難易度を下げる工夫:
- はじめの課題を元にする: 建物をテストする揺れの速さを1種類だけにします。建物が”すぐに”倒れるという場合の判断基準の時間 (5秒または10秒など) を決めるとよいでしょう。
課題の難易度を上げる工夫:
- さらに実践するセクションに追加アクティビティを加える: さらに実践するセクションで作るモデルを改良して、自然災害の危険を人々に知らせる方法をさらに加えてもよいでしょう。
発展課題
- 古代の日本・中国・ローマの建築家が地震に強い建物を作るために使った材料について学べる資料を用意します。 (古代中国/日本/ローマの建物 地震対策などで検索) その中からひとつ選んで調べ、その地震対策の主な考え方と学んだ内容を発表します。
発展課題を行うと、45分間を超えるレッスンになります。
教師用サポート
児童のタスク:
- 地震の被害を減らすような建物モデルを設計する。
- モデルを使って、地震の被害を減らす建物を設計した効果を評価する。
- 2つ以上の建物モデルを使って、地震の被害を減らす効果を比べる。
(2人一組)
- レゴ® エデュケーション SPIKE™ ベーシック 1セット
- レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス 1つ
- 準備セクションの「準備するもの」参照
- 理科第6学年2-B-(4) 土地のつくりと変化
- 総則第3節-1-(3)-イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
- 理科第3-2-(3) コンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用
- 国語第5学年及び第6学年2-A-(1) 話すこと・聞くこと
国語発展課題
- 国語第5学年及び第学年2-C-(2)-ア 記録や報告などを読み,考えたことを説明したり,意見を述べたりする活動