重量挙げ選手
ジムでトレーニングをする重量挙げ選手の運動について調べてみましょう。機械的に力を強めると、さらに重いものを持ち上げるのにどのように役立つでしょうか?
準備
- 付属の生徒用資料をよく読んでおきます。授業ではプロジェクターを使って生徒用資料を表示するとよいでしょう。モデルの組み立てが不得意な生徒がいる場合は、授業の前に重量挙げ選手のモデルを組み立てておいても構いません。
- 関連性のある概念 (重力、歯車比を上げる、歯車比を下げるなど) を前のレッスンですべて学習しておいてください。
- それぞれの生徒の能力や学習進度を考慮してください。全員がレッスンを楽しめるよう、必要に応じて個別化します。下の個別化セクションを参考にしてください。
関心を引きつける
(クラス全員、5分)
- ここで生徒用ビデオを見るか、付属の生徒用資料から再生してください。
- ビデオの様々な重量挙げでどのような力が働いていたか、簡単なディスカッションを促します。
- 次のような質問をしてください:
- 重量挙げ選手がバーベルを持ち上げる際に働くのは何の力ですか?(筋肉によって体を動かし、押す力または引く力によってバーベルを上げ下げします。)
- 持ち上げられたバーベルが下に戻ってくるのは何の力のためですか?(重力)
- 滑車 (プーリー) とは何ですか?また複滑車とは何ですか?この装置は重量挙げ選手のトレーニングにどのように役立ちますか?(滑車とはロープやケーブルが車輪の円周上に巻き付けられた装置です。複滑車とは、複数の滑車の間にロープやケーブルが通った装置で、物を引き上げる際に必要な力を減らすことができる装置です。)
- これから重量挙げ選手のモデルを組み立て、釣り合っている力と釣り合っていない力についての実験を行うことを説明します。
探究する
(少人数グループ、25分)
- 生徒をペアに分け、重量挙げのモデルを組み立ててもらいます。ブロックを探す役と組み立てる役を、ステップごとに交代しながらモデルを完成させるよう指示してください。
- 組み立てステップの21~29は難易度がやや高めです。ここではレゴ® テクニックのパーツが初めてデザインに導入され、糸を正しいルートに通すには観察力が必要です。先生が授業の前に組み立てたモデルをお手本として使用すると、自分で間違いが見つけやすくなるでしょう。
- 組み立てに役立つ情報は下のヒントを参照してください。
実験 1:
- 滑車を組み立て説明書の1の位置にして、モデルでバーベルを引き上げてもらいましょう。
- 観察して気づいた点を生徒用ワークシートに記録するよう指示します (教師用サポート - 補足資料)。(このモデルは、物を持ち上げるのに必要な労力や速度を増減させる機能はないため、機械的に力は強まりません。運動の方向を変えるだけです。)
- 4つの重り (車輪パーツ) をすべてバーベルに取り付けると、このモデルでは持ち上げることができません。持ち上げられる重りの数は3個までです。
- バーベルから重りを1つずつ取り外して同じように実験を行い、各回の実験結果を記録するよう指示します。
説明する
(クラス全員、10分)
- 生徒を集めて、わかったことについて発表してもらいます。
- 下のように質問してください:重量挙げ選手に働いている力はバランスが取れていますか?取れていませんか?(手の力で上げたり下げたりするまでは静止していたことから、力のバランスが取れていたことがわかります。)
実験 2:
- モデルの滑車の位置を2に変更する方法を実演しながら解説してください。
- この滑車位置で同じように実験を行い、結果を生徒用ワークシートに記録させます。
さらに実践する
(クラス全員、5分)
- 生徒を集めて実験結果を発表させ、ディスカッションを行います。
- 次のような質問をしてください:
- 糸の位置を変えたとき、重量挙げ選手の運動についてどのようなことに気づきましたか?(動かしやすくなった、自然に動いた、前ほど上がらなかった、などがあります。)
- 重量挙げ選手が重りを持ち上げる際に働く力は何ですか?(重さ [重力] によって重りブロックが下に引っ張られ、滑車が下向きの運動を上向きの引く力に変換します。)
- 滑車を2の位置にすると1の位置とは異 なる結果になるのはなぜですか?(2の位置では機械的な力の比が2:1になります。つまり、モデルによってバーベルを持ち上げるのに必要な労力が半分になり、同時にバーベルが持ち上げられる高さも半分になります。1の位置の時と同じ高さまでバーベルを上げるには、糸を2倍の長さ引っ張る必要があります。)
- 生徒がモデルを解体してブロックをトレーに仕分けし、作業スペースを片付ける時間を設けてください。
評価する
(レッスン全体を通して)
- 授業中に生徒に「なぜ」や「どのように」といった質問を投げかけて、学習の中心となっている概念についての考察を促してください。
- 生徒がモデル制作の問題を解決するために行った決断の思考プロセスや論理付けについて、「声に出して考え」たり説明するような声かけをします。
この学習におけるルーブリックの例
- それぞれの生徒が、モデルに働く釣り合っている力と釣り合っていない力についてどの程度上手く説明できるかを評価します。
- 状況に合った評価基準を作成しましょう。例:
- 追加の支援を必要とする
- 支援を受けずに作業できる
- 他の生徒に教えることができる
自己評価
- それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるブロックを選ばせます。
- 緑:釣り合っている力と釣り合っていない力について説明することができると思う。
- 青:釣り合っている力と釣り合っていない力について説明することができる。
- 紫:釣り合っている力と釣り合っていない力について説明し、クラスメートの理解を助けることもできる。
仲間のフィードバック
- チームごとに、一緒に作業をした体験について話し合ってもらいます。
- 下のような文章を使うよう促してください:
- 君が…したのはとても良かったと思う。
- 君がどうやって…したのかもう少し聞きたいな。
ヒント
組み立てのヒント
- 滑車は次の2通りの設定ができます:
- 位置1
- 位置2
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- まずは「重り」を使わず、片手で黄色の軸を押し下げながら、片手を重りブロックの上に置いてモデルを試させる
- 黄色の軸を押し下げた際に気づいたことや感じたことがないか質問し、説明させる
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- セットに入っているブロックやほかの車輪パーツを使ってバーベルと重りの両方をさらに重くし、モデルを再び力のバランスが取れた状態にできるか挑戦させる
- セットに入っているブロックでモデルを装飾して個性を表現させる
発展課題
(注:時間が別途必要です。)
数学スキルの向上を図るには、滑車の位置を1にして重りモジュールが一番上の位置に来るようにモデルを準備します。モデルはこれでバランスが取れた状態になります。重量挙げ選手が立ち上がり、重りが下がるには (つまり非平衡状態になるには) いくつの車輪を取り外せばよいか計算してもらいましょう。
重量挙げ選手のモデルの各部分の重さは下の通りです:
- 重りモジュール 121 g
- 重量挙げ選手 40 g
- 車輪 23 g (1個当たり)
重さは滑車の構造と滑車にかかる摩擦力にやや影響を受けるため、実際の重さは異なる場合があります。
小学校学習指導要領算数 第2-第3学年-2-C-(1)
教師用サポート
学習内容:
- 物体に働く釣り合っている力と釣り合っていない力の効果を実験し、その大きさを測定する
- 滑車 (プーリー) で機械的に力を強めることについて調べる
- レゴ® エデュケーション BricQモーション ベーシック セット (生徒2人あたり1セット)
小学校学習指導要領
国語 筋道立てて考える力、話の構成を考える
算数 2~6年生 表やグラフ、平面図形の面積
理科 3=6年生 重さと体積、予想や仮説、観察、実験、計測して制御
図画工作 創造的につくったり表したりする、つくりだす喜びを味わう
総合的な学習の時間 探求的な見方・考え方、横断的・総合的な学習を行う
中学校学習指導要領
国語 原因と結果、意見と根拠、少人数で話し合う活動、分かりやすく伝える
数学 1年生 数と式、比例/反比例、座標
理科 [第1分野] 力の働き、力の合成・分解、力のつり合い、運動の速さと向き、運動とエネルギー、摩擦
技術・家庭 [技術分野] 材料、加工、エネルギー変換及び情報の技術
総合的な学習の時間 探究的な見方・考え方、横断的・総合的な学習を行う