自由落下
ドロップタワー を組み立てて、万有引力定数を特定する実験を行います。
レッスンプラン
1.準備
- EV3 Classroom アプリの生徒用資料を読み、学習課題をよく理解しておきましょう。
- 落体の法則について調べておきます。
- 2時間連続で授業を行うことができない場合は、このレッスンを数回に分けて行えるように授業計画を立ててください。
パート A.
2.興味付け (10分)
- 「ディスカッションを活性化させる」セクションのアイデアを参考に、生徒の学習への関心を喚起します。
- 生徒にペアを組ませます。
3.探求 (35分)
- ペアごとにドロップタワーを作るよう指示します。
- テスト走行を行う時間を設け、モデルが正しく組み立てられており、正常に機能することを確認させます。
パート B.
4.説明 (15分)
- チームごとに3回以上実験を行い、その結果を記録するよう指示してください。
- 各チームに自分たちでチェック表を作成できていることを確認させます。
5.仕上げ (30分)
- 記録したデータと落体の法則を使って、平均速度と万有引力定数を算出してもらいます。
- チームごとに実験結果を簡単にまとめるよう指示します。
- 清掃の時間も忘れずに確保してください。
6.評価
- それぞれの生徒に取り組みを評価して伝えます。
- 評価の際は、以下に提示するルーブリックを参考にすると良いでしょう。
ディスカッションを活性化させる
自由落下 とは、重力のみによって起こる物体の加速を意味します。人が飛行機から飛び降りる時、その落下速度は空気抵抗によって遅くなります。本当の意味での「自由落下」が起こるのは、重力以外の力に影響を受けることのない真空空間だけです。このような実験が行える試験環境は、アメリカ合衆国オハイオ州にあるNASAのグレン研究センターなどに備えられています。
以下のような質問をして、自由落下についてのディスカッションを促してください:
- 「自由落下」 という言葉は何を意味しますか?
- 加速度と速度との関係はどのようなものですか?
- 真空空間では、カバとミミズは全く同じ速度で落下するでしょうか?
- 自由落下 についての知識が役に立つのはどのような時でしょうか?
組み立てのヒント
組み立て説明書
モデルを使う
モデルを水平で安定した場所に置きます。プログラムを実行し、タッチセンサーがディスプレイに表示されるまで待ちます。ボールをボールアームにのせて、ドロップタワーの背面にあるタッチセンサーを押し、落下試験を開始します。実験が成功するとディスプレイに笑顔が表示され、次に落下時間が表示されます。失敗した場合は悲しい顔が表示されます。次の実験が行えるよう、ボールアームが自動的に閉じます。
実験を行う
生徒が実験を行う際、以下の点に注意するよう促してください:
- 実験が成功すると落下 時間がディスプレイに表示されます。
- 実験の回数と落下時間をチェック表に記録します。そのほかの計算ができるよう、列を追加できるスペースを確保しておきます。
- 実験を3回以上行い、平均値を用いることで実験結果の信頼性を高めます。
プログラミングのヒント
プログラム
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- 計算式を生徒と一緒に解く。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- 測定値を使ってそのほかの計算をしてみるよう促す。
- 平均値 (算術平均と中央値の違い、外れ値の影響など) を用いることで実験における測定誤差を均等にふりわけることの重要性を説明する。
- 実験の精度を向上させる方法を見つけられるかどうか挑戦させる。
学習評価
この学習におけるルーブリックの例
次のルーブリックを参考に、評価規準や判定基準を作成しましょう。
1.課題を部分的にこなした。
2.課題を十分にこなした。
3.期待を上回る達成度であった。
以下の成功基準を使用して、生徒の進度を評価します。
- 数学的な概念および/またはプロセスを応用して万有引力定数を特定することができた。
- ボールが一定の割合で加速することを説明することができた。
- この実験における独立変数と制御変数を特定することができた。
自己評価
それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまるレベルを選ばせます。
- ブロンズ:実験はできたが、平均速度と万有引力定数を算出できなかった。
- シルバー:助けを借りて、平均速度と万有引力定数を算出できた。
- ゴールド:平均速度と万有引力定数を算出できた。
- プラチナ:平均速度と万有引力定数を算出できただけでなく、測定値を使ってそのほかの計算もすることができた。
国語の発展課題
言語能力の発達を促すために、生徒に以下のタスクに取り組んでもらいます:
- 実験の結果と、それを地球表面付近での重力加速度「g」と比較した結果を簡単にまとめたレポートを作成する。
- 実験の結果と、そこから学んだことを説明するプレゼンテーションを作成する。
注:これにより、さらに長い授業をすることができます。
職業適性
この授業を楽しむことができた生徒は、以下の進路について興味がある可能性があります。
- プレ・エンジニアリング
- 科学、技術、工学及び数学(理科学研究者)
教師用サポート
学習内容:
- 万有引力定数の求め方を学ぶ
- すべての物体に働く万有引力の法則について学ぶ
中学校
数学
- A 数と式:平方根
理科
- 第1分野:(5)運動とエネルギー
技術・家庭
- C エネルギー変換の技術:(2)エネルギー変換の技術による問題の解決
- D 情報の技術:(3)計測・制御のプログラミングによる問題解決
総合的な学習の時間
- (1)探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究的な学習のよさを理解するようにする
高校
情報
- 情報Ⅰ:(3)コンピュータとプログラミング
- 情報Ⅱ:(5)情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究
総合的な探究の時間
- (1)探究の過程において,課題の発見と解決に必要な知識及び技能を身に付け,課題に関わる概念を形成し,探究の意義や価値を理解するようにする