MSLロボットの救出
クレーターまで走行し、MSLロボットを救出して6つの車輪すべてが火星の表面に接地した状態に戻すことができるロボットの設計、組み立て、プログラミングに取り組みます。
レッスンプラン
1.準備
- EV3 Classroom アプリの生徒用教材を読み、学習課題をよく理解しておきましょう。
- 無人探査機の概要と、宇宙探査でどのように使用されているかについて調べておきます。
- 必要に応じて、アプリのロボットトレーナーユニットを学習するレッスンを計画しておきます。これにより、生徒が教育版レゴ® マインドストーム® EV3に慣れることができます。
- このレッスンを完了するには、スペースチャレンジの8つのモデルを組み立て、チャレンジマットを準備しておく必要があります。
- 2時間連続で授業を行うことができない場合は、このレッスンを数回に分けて行えるように授業計画を立ててください。
パート A.
2.興味付け (10分)
- 「ディスカッションを活性化させる」セクションのアイデアを参考に、生徒のミッションへの関心を喚起します。
- このミッションの目的とルール、達成メダルの獲得条件を説明します。
- 生徒にチームを組ませます。
3.探求 (25分)
- ブレインストーミングをさせ、このミッションを解決するアイデアを出してもらいます。
- 複数のプロトタイプを制作し、本体の構造とプログラムの両方で複数のアイデアを試すよう促してください。
- チームごとにモデルの組み立てとテストを行う時間を設けてください。
4.説明 (10分)
- ロボットがクレーターまで走行し、MSLロボットを救出するために必要な主な機能についてディスカッションを促します。
パート B.
5.仕上げ (45分)
- 各チームにロボットを並ばせて、MSLロボットを救出するミッションに送り出す練習をしてもらいます。
- 本番に挑戦する準備ができるまでロボットの制作を続けさせてください。
- 清掃の時間も忘れずに確保してください。
6.評価
- ミッションをどこまで攻略できたかに応じて、それぞれのチームに達成メダルを授与します。
- 各チームのデザインの独創性とチームワークを評価します。
- 評価の際は、以下に提示するルーブリックを参考にすると良いでしょう。
ディスカッションを活性化させる
マーズ・サイエンス・ラボラトリー (MSL) のロボットは、2012年から火星の表面を調査している、放射性同位体熱電気転換器を搭載した探査機ローバーです。MSLロボットには、火星の気候や地質を調査するための様々なドリルやショベルなどの機器が搭載されています。
以下のような質問をして、宇宙探査機における探査機ローバーの役割についてディスカッションを促してください:
- 探査機ローバーとは何ですか?
- 探査機ローバーは宇宙探査にどう役立ちますか?
ミッションの目的
ロボットをクレーターまで走行させ、MSLロボットを救出して6つの車輪すべてが火星の表面に着いた状態に戻します。
このミッションを完了できるミッション製作例です:
ミッションのルール
スペースチャレンジには、すべてのミッションに適用される共通ルールが5つあります。ミッションを始める前に生徒がよく理解していることを確認してください:
- ミッションは必ず基地エリアからスタートします。
- ロボットはミッションを始める前に基地エリアを出なければなりません。
- ロボットの一部が基地エリアの境界線内に入った時点でロボットの帰還が成功したとみなされます。
- ロボットが基地エリアから出ている間はロボットに触れることはできません。
- ロボットが基地エリアから完全に出ており、物体を保持している時にロボットに触れた場合は、その物体を元の場所に戻し、ミッションをはじめからやり直すものとします。
ミッション達成メダル
達成メダルには4つのレベルがあります。ミッションをどの程度攻略できたかに応じて各チームに達成メダルが授与されることを説明します。このミッションにおける各達成メダルの条件については下の学習評価セクションを参照してく ださい。
組み立てのヒント
オープンエンドの解決方法
このプロジェクトは、各チームが独自の解決方法を考えることができるようにデザインされています。以下のような質問をしてチームごとにブレインストーミングをさせ、このミッションを解決するためのアイデアを出してもらいましょう:
- ロボットにクレーターまで走行させるにはどんな方法がありますか?
- MSLロボットを救出するにはどのタイプの電動ツールが使えるでしょうか?
ミッション製作例
ミッション製作例は以下の拡張パーツで構成されています:
ミッションをスタートする
製作例のモデルをチャレンジマットのスターティングポジション「1」に置き、ミッションをスタートします。回収装置モジュールがビデオと同じように配置されていることを確認してください。
ミッションのトラブルシューティング
クレーターの前にある岩のサンプルにぶつかってしまった場合は、ミッション「岩のサンプルを持ち帰る」を最初に完了するよう提案してください。
プログラミングのヒント
プログラム例
個別化
学習に困る生徒が多い場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- クレーターの前にある岩のサンプルを取り除いておく。
- 探査機ロボットがクレーター上に到着したあと、MSLロボットを救出する方法を生徒と一緒に考える。
- このミッションに挑戦する前に、生徒にロボットトレーナーのレッスン「つかんで放す」を完了させる。
- 生徒同士で教え合うよう促す。
この学習で物足りない場合は、次のように学習方法を工夫してみましょう:
- ミッションに時間制限を設ける。
- 使えるレゴ® パーツの数を制限するか、パーツの種類ごとに「価格」を決めてロボット1台当たりの「予算」を定め、設計に制約を加える。
学習評価
この学習におけるルーブリックの例
次のルーブリックを参考に、評価規準や判定基準を作成しましょう。
1.課題を部分的にこなした。
2.課題を十分にこなした。
3.期待を上回る達成度であった。
以下の成功基準を使用して、生徒の進度を評価します。
- ミッションの条件を満たすロボットをデザインすることが できた。
- 独創的な解決方法を考え、複数の解決方法を検討することができた。
- チームとして協力しながらミッションを完了することができた。
達成メダル
ミッションをどこまで攻略できたかに応じて、それぞれのチームに達成メダルを授与します。
- ブロンズ:MSLロボットをクレーターから救出することができなかったが、明確な試みが行われた。
- シルバー:MSLロボットを元の位置から動かすことはできたが、クレーターから出すことができなかったか、一部の車輪が地表に着いていない。
- ゴールド:MSLロボットをクレーターから救出して6つの車輪すべてが火星の表面に接地した状態に戻すことができた。
- プラチナ:MSLロボットをクレーターから救出して6つの車輪すべてが火星の表面に接地した状態に戻すことができた。また、ミッションの条件を超えた高度な機能をデザインに追加することができた。
自己評価
それぞれの生徒に、自分の成果に最もよくあてはまる達成メダルを選ばせます。
- ブロンズ:厳しい条件下で全力を尽くすことができた。
- シルバー:途中でいくつか失敗はあったが、なんとかミッションを完了させることができた。
- ゴールド:ミッションを高い完成度で完了することができた。
- プラチナ:ミッションを完了しただけでなく、自分たちで考えた効果的な機能をデザインに追加することができた。
国語の発展課題
言語能力の発達を促すために、生徒に以下のタスクに取り組んでもらいます:
- ロボットの特徴と性能をまとめたプレゼンテーションまたはビデオを制作する。
- 自分たちが作ったプログラムの重要ポイントを説明するプレゼンテーションを制作する。
注:これにより、さらに長い授業をすることができます。
職業適性
この授業を楽しむことができた生徒は、以下の進路について興味がある可能性があります。
- コンピュータープログラミング
- プレ・エンジニアリング
- 科学、技術、工学及び数学(科学技術)
教師用サポート
学習内容:
- スキルを応用してミッションを解決する
中学校
理科
- 第1分野:(7)科学技術と人間
- 第2分野:(6)地球と宇宙
技術・家庭
- C エネルギー変換の技術:(2)エネルギー変換の技術による問題の解決
- D 情報の技術:(1)生活や社会を支える情報の技術,(3)計測・制御のプログラミングによる問題解決
総合的な学習の時間
- (3)探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う
高校
情報
- 情報Ⅰ:(3)コンピュータとプログラミング,(4)情報通信ネットワークとデータの活用
- 情報Ⅱ:(3)情報とデータサイエンス,(4)情報システムとプログラミング,(5)情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究
総合的な探究の時間
- (3) 探究に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,新たな価値を創造し,よりよい社会を実現しようとする態度を養う