重力
ダニエルは、ゆらゆらゆれる枝の上で、鳥がうまくバランスをとって止まっているのを見るのが大好き。ダニエルといっしょに、揺れてもうまくバランスをとれる鳥を作ってみよう。
準備
(注: このレッスンはパートAとパートBに分かれています。どちらのパートも学習指導要領に関連した学習に大切な内容が含まれています。時間が限られている場合、両パートを確認したうえで扱う部分を適宜選んでください。)
このレッスンでは、デザイン例を参考にして、鳥のバランスを取って立つ鳥のモデルを組み立てます。自分たちの自由なアイデアでデザインを考えて、組み立てるよう促しましょう。
- 理科の基礎知識 - 重力:
- 物体の重心とは、物体の重さがつり合っている点です。重心が低いと、物体は安定します。
- 鳥モデルを傾けると、重心の位置が高くなって安定が悪くなります。
- 下向きの重力が鳥を常に元へ引きもどして、重心をできるだけ低くしようとします。
- 鳥がどんなに傾いても、鳥に作用する重力が地球の中心に向かって真下に引っぱっています。
- 予備知識を身につけよう - 重力:理科の教科書・教材を使って、情報・図/画像・用語の定義などを予備知識として学びます。
- 力とは、ひとつの方向へ押したり引いたりする作用です。
- 重力は、物体を地球の中心に向かって引っぱっる地球からの力です。
- 自然界で起こること (地球が物体に及ぼす重力は下向きである、など) についての意見や主張を文章にまとめ、発表します。根拠となる証拠、事実のデータ、実証できるモデルが含まれている必要があります。
- 重要なキーワード:力・重力
- モデルの組み立てとプログラミング:ユニットプランの学習前の推奨事項をご確認ください。その他の準備:
- SPIKE アプリの [開始] メニューにある [内蔵ジャイロセンサー] のチュートリアルアクティビティで復習する。
- SPIKE アプリの [ヘルプ]>[ワードブロック] にあるイベントブロックとサウンドブロックのセクションを読み、詳しい使い方や役割を知る。センサーブロックの「傾きあり?」のセクションを見て、基本モデルが静止している時にハブが水平を保っていることを確かめるセンサーの役割や使い方を知る。
- 「ハイテク公園」のレッスンを用いて、イベントブロックを使ってみる。
パートA (45分)
関心を引きつける
(クラス全員・10分)
ストーリーの主なキャラクターと最初の課題を紹介します: ダニエルといっしょに、うまくバランスがとれる鳥モデルを作ってみよう。
考える — このレッスンのトピックについて、児童たちに話し合いのきっかけとなる問いかけをします。
- 物を持ち上げて空中で手をはなすとどうなる?それはなぜ?(重力が下向きに引っぱるので、物は地面に落ちます。)
- ブランコや振り子を手で引いて、その手を離すとどうなる?それはなぜ?(ブランコは重力で下向きに引っぱられるので、一番低い位置で止まります。)
SPIKE ベーシック セットとプログラミング用デバイスを各グループに1セットずつ配ります。
探究する
(少人数グループ・25分)
組み立てとプログラミングに取り組む際に、参考として下のデザイン例を見せても (配布しても) よいでしょう。 ただし、画像はアイデアのひとつであることを明確に伝え、自由なアイデアでデザインを考えて組み立てるよう促してください。
児童のタスク:
- 基本モデルを使い、傾いたときにも重力の下向きの力で元の直立の位置に戻れるような、つり合いをとれる鳥を組み立てる。
- 内蔵ジャイロセンサーとイベントブロックとサウンドブロックを組み合わせて、右に傾いたとき・左に傾いたとき・直立しているときに、それぞれ異なる鳥の鳴き声がするようにプログラミングする。
傾いたときに直立の元の位置に戻ることのできる鳥モデルをレゴパーツで作る方法について、たくさんのアイデアを出して話し合うよう促します。必要に応じて、ハブが支点 (コネクターまたは軸) にぶら下がっている状態の基本モデルを傾けたあとに手を離すと、直立の元の位置に戻るようすを実演します。ハブが1点の支点につり下げられている限り、児童のアイデアで基本モデルを変更できます。
作業時間の途中で、通常の授業で慣れた話し合いのスタイルで、児童にアイデア交換を促し、そこでひらめいたアイデアをもとにモデルを改良させます。
デザイン例
説明する
(クラス全員・10分)
クラス全員を集めて発表の時間を設けます。
グループごとに自分たちが作ったモデルを使って、次のポイントを説明し、実演も行います。
- 鳥にかかっている重力の方向 (地面に向かって)。
- モデルを傾けたときに、重力のおかげでモデルが元の位置に戻るしくみ。
- 鳥の傾きに応じて違う音がするようにしたプログラミングの工夫。
パートBの説明するにそのまま進む場合は、児童たちにモデルを分解しないでそのままにしておくよう指示します。モデルを分解した場合は、組み立て直す時間を与えてください。
パートB (45分)
説明する
(クラス全員・10分)
- パートAの説明するからもう一度繰り返し、今までに発表していないグループは実演と説明をします。
さらに実践する
(クラス全員・30分)
- (5分) 児童たちが実践を深められるような情報を与えます。
- 作った鳥を160°傾けて (ほとんど逆さまになるまで) 手を離すよう伝えます。
- 必要に応じて、次の発見ポイントを再度伝えます。
- 鳥のモデルが自然にもっとも安定した位置 (支点からぶら下がっている位置) に戻るようにするためには、ハブが支点より上にある必要がある。重力の力でハブは引き下げられるので、支点より上に重いものがあると安定しない。
- (10分) アプリを使って次の課題に成功するまで、児童たちにモデルのテストを繰り返すよう促します。
- ハブなしで、うまくつり合いをとる鳥モデルを作る。かたむけたときでもまっすぐに立つようにする。(ヒント: 支点よりも下の部分が上の部分より重くなるような鳥のモデルを作ろう。)
- 鳥の下の方が上の方よりも重くなっていることを示し、重力の考え方を使って、そうでなければならない理由を説明する。(鳥の上の方が下の方より重かったら、重力の力で上の方が下に引っぱられて鳥が逆さまになってしまうよ。)
- (15分) 次のことがらについて、わかったこと・考えたこと・使った技術をお互いに発表しあいます。
- 課題をクリアするのに役立ったこと。
- 組み立て中に学んだこと。
- 作業した場所と使ったセットを片付ける時間を取ります。
評価する
(クラス全員・5分)
- アイデア出し、組み立て、プログラミングの間に児童たちが考えたことや決めたことを引き出すような問いかけをします。
この学習におけるルーブリックの例
学習の目的を確認します。(教員用サポートを参照)
地球が物体に及ぼす重力は下向きであるということが理解できるようになります。
次のポイントについて、児童の学習進度をチェックします。
- つり合いを取って自然に直立位置に戻る鳥のモデルを作れていますか?
- パートA:モデルにかかる重力が下向きであることを説明できていますか?ハブが鳥モデルより重く、重力で引っぱられているので、軽い鳥が上にとどまるように作れていますか?
- パートB:鳥がまっすぐ立っているためには、改良した鳥モデルの下の方が上の方よりも重くないといけないことを説明できていますか?さらに実践するセクションの鳥と説明するセクションの鳥との明らかな違い: 鳥モデルをまっすぐに立てておくため、重いハブが支点の下にないこと。
自己評価
各自に、自分ができたことのレベルに合うブロックを選んで、成績をつけてもらいます。
- 青色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできると思う。
- 黄色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできる。
- 緑色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできて、クラスメートを手つだうこともできる。
仲間とのふり返り
少人数グループで、いっしょに作業した体験について話し合ってもらいます。
次のような表現を使うように促してください。
- XXさんが…したのはよかったと思う。
- XXさんが…したやり方をもっと教えて欲しいです。
個別対応
課題の難易度を下げる工夫:
- 最初の課題で終わりにする:モデルの下半分にハブを入れて、うまくつり合いをとれる鳥のモデルを組み立てた後、児童に「はい/いいえ」で答えられる問いかけをして、説明を引き出します。
課題の難易度を上げる工夫:
- パートAを発展させる ― 探究課題:パートAと同じようにハブを入れて、傾けたときにひとりでに元の直立に戻るモデルを別の動物 (鳥以外) で組み立てて、プログラミングするよう促します。リスやサルなどの動物で作ってみましょう。
発展課題
- レーシングカーや赤ちゃん用のコップなど、倒れてしまわないように設計されている物の工夫点について学べる資料を用意します。児童にひとつの例を選んで学んでもらいます。そのうえで、その製品の動画広告の台本を書くなど、文章化して学んだことを発表させます。
発展課題を行うと、45分間を超えるレッスンになります
教師用サポート
児童のタスク:
- 地球が及ぼす重力によって、物体が地球の中心に向かって引き下げられることを示す装置を作る。
- 物体を真下へと引っぱる力である重力の考え方を使って、作った装置で鳥の動きを説明する。
(2人一組)
- レゴ® エデュケーション SPIKE™ ベーシック 1セット
- レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス 1つ
- 学習指導要領 理科第3学年2-A-(1) 物の性質について、形や体積に着目して、重さを比較しながら調べる活動
- 総則第3節-1-(3)-イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
- 理科第3-2-(3) コンピュータや情報通信ネットワークなどの適切な活用
- 国語第3学年及び第4学年2-A-(1) 話すこと・聞くこと
国語発展課題
- 国語第3学年及び第4学年2-B-(2)-ア 調べたことをまとめて報告するなど,事実やそれを基に考えたことを書く活動