しぜんをお手本にしよう
ダニエル、ソフィー、レオ、マリアは、ほたるとおなじようなしくみでひかるでんきゅうがあることをならったよ。ほかにもしぜんをお手本にしたものは、あるのかな?
準備
(注: このレッスンはパートAとパートBに分かれています。どちらのパートも学習指導要領に関連した学習に大切な内容が含まれています。時間が限られている場合、両パートを確認したうえで授業で扱う部分を適宜選んでください。)
このレッスンの学習のポイントは、工学デザインとバイオミミクリーについて気づきを得ることです。バイオミミクリー (生物模倣) とは、自然の生きものの優れたしくみを学び、それを活かして技術を生み出すことです。自然のしくみを取り入れた道具をデザインし、組み立てます。
レッスンでは考えるヒントとしていくつかの提案を挙げています。自分たちが選んだ問題解決の道具を、自由なアイデアでデザインを考えて組み立てるよう促します。正解となるモデルが1つだけではないことを明確に伝えましょう。
- 生活科の基礎知識 - しぜんをお手本にしよう: バイオミミクリー (生物模倣) とは、生きものの優れたしくみを学び、それを活かして人間の問題を解決する技術を生み出すことです。
- 生きものの感覚器 (目・耳・鼻・舌・皮膚のこと) をはじめとする、体の中や外のしくみ (顕微鏡でしか見られない構造やプロセスを含む) について理解するところからアイデアが生まれます。
- このレッスンでは、人間の目で見られる、体の外のしくみをお手本にします。
- (ユニットの一貫性のため) 光と音に関連する自然をお手本にした技術・道具の例を挙げています。クラスの状況に応じて例の数や種類を選んで、配布したり見せたりしてください。
- 道具を発明しデザインするためのアイデアとなるように、様々な動物の体の部分に関する情報や画像を児童に提示します。
- 予備知識を身につけよう - しぜんをお手本にしよう: 理科の教科書・教材を使って、情報・図/画像・用語の定義などを予備知識として学びます。
- 動物の体の表面部分には、つの・毛皮・えら・関節のある脚・つばさ・くちばし・目・羽毛・うろこ・耳・針・触角・鼻・まぶた・殻・羽根・鮮やかな体色・もようなどがあります。
- 動物は自分たちがその環境で子どもを生み、成長し、生きていくために体の表面部分のしくみを役立てています。周りの環境に似た色で目立ちにくくする、体を守る、その動物を食べる動物を遠ざけるなどはその例です。
- 人は、自然の優れたしくみをヒントにして、役立つものを発明します。光と音の例:1) LED電球は、ホタルのおしりの光る部分の形をお手本にして、少ないエネルギーで明るくする工夫をしています。2) 列車や風力発電の形は、カワセミのくちばしをお手本にして、騒音を抑える工夫をしています。3) 光の加減で色が変わる感光素材によって、機械や人間を背景色になじませる工夫をしています。
- よく知られた発明品とそのアイデアの元: 飛行機 ― 鳥の翼、ヘリコプター ― トンボとハチドリ、オートバイのヘルメット ― カメのこうら、潜水艦の形 ― クジラ、義手 ― ゾウの鼻 (「動物の体のしくみとやくわり」レッスン参照)
- 重要なキーワード: 体の一部 (からだのいちぶ)・生存 (せいぞん)・発明 (はつめい)
- モデルの組み立てとプログラミング: ユニットプランの学習前の推奨事項をご確認ください。その他の準備:
- SPIKE アプリの [開始] メニューにある チュートリアルアクティビティをすべて復習する。
- 「かがく ― 見よう!きこう!くみ立てよう!」ユニット内の他のレッスンを1つ以上学んで 組み立ての体験を重ね、SPIKE アプリのアイコンブロックに親しんでおく。
- このレッスンでは、プログラミングはオプションであることを明確にしておく。
- 準備するもの: 上の基礎知識を踏まえて、1) 動物の体の外側のしくみ、2) バイオミミクリー (生物模倣技術) について、年齢に応じた情報・画像・ビデオなどを見つけて、選んでおきます。2) については、「バイオミミクリーの例」や、「バイオミミクリー + 光と音」などで検索してください。見せる例の数、情報を見せる (配る) 形式やスペース、どんな選択肢を与えるかなども含め、準備した情報をどのように提示するかを決めておきます。モデル作りに役立ちそうな工作材料を集めます。
パートA (45分)
関心を引きつける
(クラス全員・10分)
ストーリーの主なキャラクターと最初の課題を紹介します: ダニエル、ソフィー、レオ、マリアは、ほたるとおなじようなしくみでひかるでんきゅうがあることをならったよ。ほかにもしぜんをお手本にしたものは、あるのかな?
考える —準備したバイオミミクリーと動物の体の部分に関する情報を見せて、教室内で話し合いのきっかけとなる問いかけをします。
- 写真を見てみよう。写真に写っている体の部分は、動物たちが生きていくためにどんなふうに役立ってるのかな?人間も、同じことができるかな?(答えは、どんなバイオミミクリーの写真を見せたかによって異なります。いいえ、人間は 〜のように〜はできません。ホタル・光を出すこと、鳥・飛ぶことやくちばしを使って音を出さずに動くこと、クジラ・深い海に潜ること、カメ・甲羅の中に頭を入れること、などの例が挙がるかもしれません。)
- 動物ができることに似ている人間の技術をあげてみよう。(例: 鳥や昆虫が飛ぶ姿のような飛行機の翼やヘリコプターの羽根、クジラのように海に潜る潜水艦、カメのこうらのように人間の頭を守ってくれるヘルメット、ホタルのおしりのように光る電球、鳥のように音を立てずに動ける列車や風力タービンなど)
- ほかの写真も見てみよう。動物のどの部分が写っているかな?(答えは、どんな動物の体の部分の写真を見せたかによって異なります。つの・毛皮・えら・関節のある脚・つばさ・くちばし・目・羽毛・うろこ・耳・針・触角・鼻・まぶた・殻・羽根・鮮やかな体色・もようなど)
- 動物の体のいろんな部分について考えてみよう。どんなふうに人間に役立つと思う?(児童のアイデアを引き出して、みんなでそのアイデアを使えるように掲示します。)
SPIKE ベーシック セットとプログラミング用デバイスを各グループに1セットずつ配ります。
探究する
(少人数グループ・25分)
児童が取り組んでいる間に、どんな動物からひらめいたアイデアで、どんなふうに人間に役立つ道具をデザインして組み立ててもよいことを、明確に伝えてください。関心を引きつけるセクションで考えるヒントとしていくつかの提案を挙げています。このレッスンはオープンエンドであり、答えが一つに限定しないこと、プログラミングはしてもしなくても構わないことをしっかり伝えてください。
児童のタスク:
- 「関心を引きつける」セクションでのアイデアをもとに、人間にはできないこと (解決したい問題) とそれをできるようにしてくれる動物の体の部分 (解決策) を選びます。
- アイデアのもとになった動物の体の部分と、そのデザインがどんなふうに人間の役に立つかを含めて、アイデアを絵にします。(アイデアのもとになった動物の部分の名前を書き、丸をつけたりラベルをつけたりして、その部分を自分のアイデアにどんなふうに使うのかを示すよう指示します。)
- どんな材料を使うのが一番良いか考えます。
- 自分たちのアイデアに沿って組み立てを始めます。
- (オプション) 人間に役立つしくみを示すようモデルのプログラミングを始めます。
作業時間の途中で、通常の授業で慣れた話し合いのスタイルで、児童にアイデア交換を促し、そこでひらめいたアイデアをもとにモデルを改良させます。
- モデルをテストして、考えたとおりに作動するように改良します。
考えたデザインアイデアにレゴ®パーツと工作材料を組み合わせて使う方法について、たくさんのアイデアを出して話し合うよう促します。その道具で解決したい問題点と選んだ材料の使い方について、想像力を働かせて考えるよう促します。
説明する
(クラス全員・10分)
クラス全員を集めて発表の時間を設けます。
ペアごとに、ここまでにできた道具のデザイン (モデルや絵) を発表し、次のポイントを説明するよう指示します。
- 解決したいと思う問題と、その理由。
- アイデアのもとになった動物の体の部分と、動物がその部分をどんなふうに使っているか。
- 自分たちの考えた道具 (発明) が役立つしくみ。(その道具がどんなふうに役立つかを言葉にしたり、絵で示したりしますが、その機能を果たす道具を完成させる必要はありません。)
- 自分たちの設計はうまく機能しましたか。それとも変える必要がありましたか。
- 設計の面でうまくいかず、助けてほしいと思っているところ。
パートBの説明するに進む場合— 児童たちにモデルを分解しないでそのままにしておくよう指示します。モデルを分解した場合は、組み立て直す時間を与えてください。
パートB (45分)
説明する
(クラス全員・10分)
- パートAの説明するの内容を繰り返し、さらに多くのグループに実演と説明を行ってもらいます。
さらに実践する
(クラス全員・30分)
児童のタスク:
- (10分) 思いどおりに作動するまで、モデルの改良とテストをくり返します。
- (15分) 発明した道具を使って、動物の体の部分からひらめいたアイデアが、人間にとってどんなふうに役立つかを実演して示します。
(5分) 次のことがらについて、わかったこと・考えたこと・使った技術をお互いに発表しあいます。
- 課題をクリアするのに役立ったこと。
- 組み立て中に学んだこと。
作業した場所と使ったセットを片付ける時間を取ります。
評価する
(クラス全員・5分)
- アイデア出し、組み立て、プログラミングの間に児童たちが考えたことや決めたことを引き出すような問いかけをします。
この学習におけるルーブリックの例
学習の目的を確認します。(_教員用サポート_を参照)
次のポイントについて、児童の学習進度をチェックします。
- 自分たちの説明やモデルのデザインの中で、(先生が示した基礎知識を使って) 動物が生きていくために体の外のしくみが役立っている例を特定して示せていますか?
- 作ったデザインは、特定の動物の体の部分の働きに似せて、人間のできないことをできるようにしていますか?(その道具がどんなふうに役立つかを言葉にしたり、絵で示したりしますが、その機能を果たす道具を完成させる必要はありません。)
- 使った材料やデザインの特徴を説明できていますか?
自己評価
各自に、自分ができたことのレベルに合うブロックを選んで、成績をつけてもらいます。
- 青色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできると思う。
- 黄色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできる。
- 緑色:作り方のせつめいのとおりにプログラミングできて、クラスメートを手つだうこともできる。
仲間とのふり返り
少人数グループで、いっしょに作業した体験について話し合ってもらいます。
次のような表現を使うように促してください。
- XXさんが…したのはよかったと思う。
- XXさんが…したやり方をもっと教えて欲しいです。
個別対応
課題の難易度を下げる工夫:
- 解決したい問題とそれを解決する動物の体の部分を予めつなげて示したり、選択肢を少なくしたりします。また、デザインする道具にハブを取り入れたり、プログラミングしたりする必要はないこともはっきり伝えましょう。
課題の難易度を上げる工夫: - 自分たちの発明した道具が、役立つようすがわかるようにプログラミングすることを指示します。さらに実践するでのタスクを、動物の体のしくみを2つ以上組み合わせて、複数の問題を解決できるようなモデル作りにレベルアップしてみることを提案してもよいでしょう。
発展課題
- 「探究する」で描いたデザインの絵から、その発明品の広告やパンフレットを作ります。矢印・円・ラベルを使って、発明した道具がどんなふうに役立つかを説明します。また、その道具を使ってほしい人に対する「おすすめ」の言葉や文章を付け加えてもよいでしょう。
発展課題を行うと、45分間を超えるレッスンになります。
教師用サポート
児童のタスク:
- 動物の体の表面部分で、成長し、生きていくために役立つものについて知る。
- 動物の体の表面部分のしくみをお手本にして、人間の役に立つ道具を考えてデザインする。
- その道具を作る材料と、どんなふうに役立つのかを含め、その道具のデザインについて説明する。
(2人一組)
- レゴ® エデュケーション SPIKE™ ベーシック 1セット
- レゴ エデュケーション SPIKE アプリをインストールしたデバイス 1つ
- 準備セクションの「準備するもの」参照
- 生活第2-2-(5) 自然の様子や四季の変化に気付く
- 総則第3節-1-(3)-イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
- 生活第3-2-(4) コンピュータなどの情報機器について適切に活用する。
- 国語第1学年及び第2学年2-A-(1) 話すこと・聞くこと
- 算数第1学年2-A-(2) 加法及び減法
国語発展課題
- 国語第1学年及び第2学年2-B-(1)-ア〜オ 書くことに関する次の事項を身に付ける